エコシステム

2025.05.09 17:45

日本発のスタートアップ関連人材養成機関「11KS」創設者の育成論

それができて初めて物語を紡げます。何を達成したいのか? 世界にもたらしたい変化とは? 製品なのか、サービスなのか? 自分が考える文化とは? こうしてはっきりとした物語を描けます。自分の内なる理解を正しく行えている人はごくわずかですが、その物語をどう描くか理解している人はさらに少数です。

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その物語をかたちにして検証するために他の起業家や支援者とどう協力すべきかを理解している人もまた少ないのです。そこから物語を組織や製品・サービスへとどのようにリソース化するかを考えます。それが「Capital Formation(資本形成)」です。そして信頼と、信頼できるネットワークの役割、エコシステムの価値を理解することが重要です。

日本に限らず、どの国も同じ道を辿りますが、初期のベンチャー投資家は取引重視の人々、つまり銀行家やコンサルタント出身で、「ベンチャー投資はクルマや株を買うのと同じだ」と考えてしまうことがあります。クルマなら、「最小限の金額で最高級を手に入れたい」と考えるのは理解できます。

でも、ベンチャー投資は“結婚”のようなものです。「妻・夫と交渉して、すべての点で彼女・彼よりも良い条件を引き出した。私の勝ちだ」と言ったところで、実際には負けですよね。悲惨なことになるでしょう。それをどう理解するか。成功のためにどう構造化するか。起業家たちをどう世界最高のリソースと引き合わせるか。

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その層が日本にはまだ希薄ですが、それでもAN VenturesやRice Capitalのような新進のファンドが、洗練されたグローバルな知識をもって参入し始めています。時間はかかるでしょうが、その数は増えていくでしょう。日本の起業家が成熟するに従って、こうした投資会社に惹きつけられるはずです。起業家たちはより良い成長のための土台を手に入れ、リソースにいっそう容易にアクセスできるようになるでしょう。

必要なのは、一本の特大ホームランです。起業家は目に見えるものを信じるからです。日本の起業シーンに根強い固定観念の多くは、Shopify(ショッピファイ)、MercadoLibre(メルカドリブレ)、NuBank(ヌーバンク)、Spotify(スポティファイ)のように、「500億、1000億、2000億ドルの企業価値をもつ会社を作れるんだ」と思えるような、日本発のスタートアップが生まれていないことに起因しています。

南米発のデジダル銀行「NuBank」をユニコーンに育てた同社共同創業者のダビド・ベレス  Sam Barnes / Sportsfile for Web Summit Rio / Getty Images
南米発のデジダル銀行「NuBank」をユニコーンに育てた同社共同創業者のダビド・ベレス Sam Barnes / Sportsfile for Web Summit Rio / Getty Images
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文 = 井関庸介 写真 = 能仁広之

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