ホールはネイビー・シールズの小隊指揮官として、自身の小隊に属する16人の隊員に対し、これら3つの問いを定期的に思い出させることにより、彼らが組織全体と不可分に結びついた単一のユニットとして機能できるようにした。その後、企業のCEOに転じたホールは、組織全体で考える文化を構築する一方で、部門のリーダーたちにそれぞれの担当部門を高機能のチームへと成長させた。
ホールはその戦略を、部門リーダーたちと共同で練り上げた。それ以後は彼らのやり方に任せ、彼らのチーム、その他のチーム、そして組織全体のために、制約を受けずに戦術レベルの調整が行えるようにした。
教訓
1. 互いに補完しあえる強みを持つメンバーを集めよう
優れたパフォーマンスを発揮するチームは、それぞれに生まれ持った才能、習得した知識、実践してきたスキル、苦労して得た経験が異なる人々で構成される。チームによっては、職人レベルの細やかな感性を持つ専門家を必要とすることもある。
2. チームにビジョンと意図を浸透させよう
チームメンバーを意欲的な共通目的のもとに結集し、自分たちの取り組みがなぜ重要なのか(ミッション)、また自分たちにとっての成功、そして他のチーム、ひいては組織全体を含む他者にとっての成功とは何か(ビジョンと意図)が理解できるようにしよう。自分たちの取り組みが重要だと確信できるサーバント・リーダーは、手助けしたいという意欲が自然と湧き出してくるものだ。
3. 他の個人やチームの意図・能力への信頼構築に時間を使おう
それによって他の個人やチームと十分に結びつき、状況認識を共有できるようになるほか、互いの強みを最も効果的に活用できるようになる。これは、退役米陸軍大将スタンリー・マクリスタルが「意識の共有(shared consciousness)」と呼ぶものでもあり、「他の誰に知らせる必要があるか」というホールの問いにもつながる。
4. リーダーシップが、組織全体のリーダーとどう連携するかを明確にしよう
組織全体のリーダーは、組織の文化を導き(私たちは何者か)、すべての意見を聞いた上で戦略を決定(どこでプレーし、どのようにして勝つか)する。そして、最も適切な強みと現場感覚を持つ人に、戦術レベルの決定を任せる(勝敗を分ける局面におけるリソース配分)。
5. 説明責任とフィードバックのループを確立しよう
各個人、チーム、および組織全体がより強化され、より良く能力を発揮できる仕組みを整えよう。


