ESG投融資額ランキング
〜ESG投融資額に見るGXへの「積極性」〜ランキング上位7割を地方銀行が占める結果に〜
GXの旗をいかに強く振ろうとも、投融資が集まらなければ絵に描いた餅だ。その牽引役となったのは、意外にも武蔵野銀行、群馬銀行などの地方銀行だ。2024年度に組成された1044件の「SLL(サステナビリティ・リンク・ローン)」の9割以上を、地域金融機関が占めていた。
地銀は以前からESG投融資に積極的に取り組んでおり、地方企業への融資を促進する機会としてESGの文脈を活用している。なかでも、地銀間連携の枠組みである「TSUBASAアライアンス」の参画企業がランキング上位に複数社入っており、地銀間での情報共有がESG投融資の拡大に一層の弾みをつけている。
TSUBASAアライアンスにも参画する武蔵野銀行はSLLの第1号案件として、定置型燃料電池の基幹部品である「セパレータ」で世界トップシェアを誇る粉末冶金メーカー「ポーライト」に融資を実行した。
また、京葉銀行は2030年までにESG投融資で1兆4000億円、うち環境分野向けで7000億円という野心的な目標を掲げている。大胆な数値だが、土地資源を活かした大規模な再生可能エネルギーの電源開発・投資プロジェクトを地域一体となって推進し、着実に実行額を伸ばしているという。
ESG調達額ランキング
〜ESG調達額に見る今後のGXの流れ〜不動産・建設業、交通・運輸業がランキング上位を占める結果に〜
驚くべきことに、ランキング上位企業では累計ESG調達額は売上金額の10%以上に相当しており、ランキング上位は不動産・建設業や倉庫業など、リアルアセットを保有する業種が大半を占めた。
リアルアセットをもつ企業は排出量も多いので脱炭素化対策が必要であり、なおかつ再エネ導入によるScope2削減といった施策に取り組みやすいので積極的に資金獲得に動いていると推測できる。
例えば「毎日コムネット」は、ZEH-M Oriented(省エネ住宅の認定基準)認定予定の学生マンションや賃貸住宅を対象に、グリーンローンで130億円超の資金を調達した実績をもつ。
同様に「いちご」は、2025年までに事業活動で使用する電力を100%再生可能エネルギーへと転換する目標を掲げており、「いちご米沢板谷ECO発電所」の建設資金借り換えによる調達も実施した。
本ランキングは、日本企業がGXという時代の要請にいかに向き合い、行動しているかを多角的に映し出す鏡である。「セイコーエプソン」の環境調和の理念から始まり、物理アセットを大量に保有する企業による「再エネPPA」、地銀連携によるESG投融資の盛り上がり、リアルアセットの活用例など、地方創生にもつながる動きが顕著だ。
企業のGX推進は、もはや選択肢ではなく持続可能な未来を築くための前提条件であり、それをいかに本業と結びつけ、成長機会へと昇華できるかが鍵となる。社会全体で脱炭素・サステナブルな経済構造への移行を進める中で、各企業の挑戦と創意工夫はGXの潮流をつくり出している。本ランキングを通じて見えてきた企業の姿勢と取り組みの本質が、次の行動のヒントとなることだろう。


