米ナスダック上場の中国の自動運転テクノロジー企業、WeRide(ウィーライド)は5月5日、ウーバーとの戦略的パートナーシップを大幅に拡大すると発表した。これを受け、WeRideの株価は6日の市場で約40%急騰した。
ウーバーとWeRideはすでにアラブ首長国連邦(UAE)のアブダビでロボタクシーサービスを展開中だが、ニュースサイトCnEV Postによると、ウーバーは新たに1億ドル(約140億円)をWeRideに出資して、2030年までに世界15都市にサービスを拡大する予定だという。
WeRideは、2024年に収益を減少させて巨額の赤字を抱えているが、ウーバーからの信任を得たことは、今後の大きな成長につながる可能性がある。中国の北京をはじめ、世界の10カ国でロボタクシーを展開中の同社の2024年第4四半期の売上高は前年同期比3%減の1580万ドル(約23億円)で、純損失は112%増の3400万ドル(約49億円)に膨らんでいた。
しかしWeRideは、海外のパートナーとの取り組みで中国の国外で急成長する可能性がある。同社の最高財務責任者(CFO)のジェニファー・リーは決算説明会で「当社は、自動運転車とサービスを現地パートナーやグローバルなプラットフォーム向けに提供している」と語った。
ロボタクシーサービスを新たな国や都市で展開する場合に課題となるのが、現地の交通当局の承認を得ることだ。WeRidのCEO、トニー・ハンによると、同社はシンガポールやフランスなどの新たな市場でまず、安全面の規制と要件が比較的緩やかなロボスイーパー(自動運転清掃車両)や固定ルートを走行するミニバスなどを配備して、当局との信頼関係を築いた後に、ロボタクシーを展開したという。
WeRideはすでに10カ国の30都市で事業を展開しており、UAEやシンガポール、フランス、米国におけるテストライセンスも保有している。そのためウーバーは同社との取り組みを通じて、新たな市場への参入をスムーズに行える。
CNBCによると、ウーバーは米国内ではウェイモやAvride、May Mobilityなどの企業とロボタクシーで提携しており、中国のPony.AI(小馬智行)やMomenta(初速度科技)とも提携している。
一方でアナリストは、株価の上昇余地という観点からは、WeRide株の方がウーバー株よりも有利だと見ている。WeRideをカバーするアナリストの平均目標株価は22ドルで、現状の株価から133%の上昇余地を見込んでいる。これに対し、7日に決算を発表したばかりのウーバー株のアナリストによる平均目標株価は90.20ドルで、上昇余地は5.6%にとどまっている。
世界のロボタクシー市場は17兆円規模に
ウーバーの株価は、7日の第1四半期決算の発表を受けて時間外で約3%下落した。同社の四半期の売上高は115億3000万ドル(約1兆7000億円)で、アナリストの予想を約1億ドル(約140億円)下回った。
ウーバーのCEO、ダラ・コスロシャヒはCNBCに対し、「オースティンで開始したウェイモとのロボタクシーサービスは我々の予想を上回る成果だった」と語り、現地でウーバーのアプリ経由で配車されるウェイモの車両約100台の1日の平均乗車回数は、人間のドライバーが運転する車の乗車回数を上回っていると明かした。
市場調査とコンサルティングを行うフォーチュン・ビジネス・インサイツによれば、世界のロボタクシー市場は2031年までに年平均80.8%で成長し、1190億ドル(約17兆2000億円)規模に達する見込みという。WeRideの株価はウーバーとの提携により、さらなる上昇余地が見込めるかもしれない。



