スーパーやドラッグストアなどポイントが付く会員証カードがいつのまにやらアプリ会員証に変わり、財布がすっきりしてきた。調査によれば、10代から60代においてアプリ会員証が主流となり利用率も大幅に上がっている。しかしその反面、利用者の8割がアプリならではのトラブルを経験していることがわかった。
アプリ開発やアプリビジネス支援などを手がけるアイリッジが15歳から69歳の男女421人を対象にアプリ会員証に関するアンケート調査を実施したところ、全年代において、日常的に利用する会員証としてアプリ会員証が物理カードを抜いてトップになった。2023年の前回調査では物理カードが優勢だった60代も、今回はアプリ会員証が僅差ながらも物理カードを上回っている。しかも、60代のアプリ会員証の利用率は61パーセントと全年代のなかでもいちばん高い。

物理カードの利用者は年代が若くなるにつれて減る傾向があり、10代では2割を切る。もう店が物理カードを発行しなくなった時代にティーンエイジャーになった世代ということだろう。アプリ会員証には、会員カードでパンパンだった財布が軽くなるという利点だけでなく、いろいろなサービスと連携して利便性が向上する楽しみもある。この傾向が今後もさらに進むのは明白だ。しかし、アプリ会員証の利用者のじつに約8割が、物理カードではあり得なかったトラブルを経験していることもわかった。
もっとも多かったのが、「電波が悪くてアプリが起動できない」ために会員証を提示できないというものだ。レジでアプリが開かないと焦る。なかなかつながらず、「もういいです」と諦めたことのある人も多いだろう。契約しているキャリアやプランによってもつながりやすさが変わるので、アプリや店が悪いわけではないのだが、そうした環境に依存するオンラインシステムの弊害をサービス提供者は考慮する必要があるだろう。

続いて多いのは、利用時にひんぱんなログインが求められる、決済、ポイント付与、クーポン処理などでいちいちスキャンを求められる、決済やポイント付与などの場面でエラーが出るなどだ。大きな買い物をしてレジでたんまりポイントをもらおうとしたらアップデートが始まり、「ちょっと待てよ!」と叫びたくなることもある。これらは明らかにアプリ側の問題だ。
アプリ会員証の利用者がさらに増えても、その8割がつねにイライラさせられるようでは困る。このようなネガティブなユーザー体験の改善は「会員証利用促進だけでなく、店舗利用体験の向上においても大きなポイントとなる」とアイリッジは指摘している。「やっぱり物理カードのほうが便利だった」なんてことにならないよう、サービス提供者には頑張っていただきたい。