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2025.05.19 08:45

バカンス中でも「趣味の節約」を忘れないドイツ人のビックリ光景

Getty Images

「大家さんはたまにオフィスに顔を出すので、『コーヒーでもいかがですか?』と勧めると、3回に1回は『いいえ。今ここで座ってしまうと、車の駐車料金が追加で1.50ユーロかかってしまうから、ここで失礼します』と断られます。逆にたまたま時間の区切りが良くて追加料金がかからない時間帯だと、喜んでコーヒーを飲んでいくんですよ。不動産をたくさん持っていて、生活に困ってもいないのに」

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これを聞いて私は、現在は70代であろう知人のドイツ人女性(正確な年齢は教えてもらったことがありません……)の、「人と会う時は自分の定期券が使える場所に限る」という徹底ぶりを思い出しました。

さらに思い出したのは、かつて日本に住んでいたスイス人のお偉いさんのこと。

「このあいだ○○さん(スイス人のお偉いさん)の家に遊びに行ったら、すごく寒かった。あんなにお金に困っていない人が駐在で来ている日本で暖房費を節約するんだ!」

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共通の知人は口をそろえてこう言っていました。

この方はスイスのドイツ語圏の人でしたが、ドイツもスイスもオーストリアもリヒテンシュタインも……ドイツ語圏の人には「金銭面でシビアな人」が多い気がします。

一部のドイツ人の「子どもよりも節約」という考え

光熱費の節約について、私にも思い出があります。子どもの頃、私はミュンヘンの集合住宅に住んでいました。ある日の夕方、上のフロアにある家に帰ろうとした時のこと。1階のエレベーターのスイッチを押し、その横にある「廊下の電気のスイッチ」を押したまさにその瞬間、奥の部屋のドアがバッと開き、中から怒号が。1階奥に住んでいた、小学生の息子がいる3人家族の奥さんでした。

「その電気、本当に必要なの!?」(“Braucht man da ein Licht!?”)

それ以来、夕方に帰ってきて、集合住宅の共有部分の暗い廊下を明るくしようと電気のスイッチを入れると……決まって奥の部屋のドアがバッと開き、“Braucht man da ein Licht!?”と毎回お決まりの怒号を浴びせられるのでした。なんといっても、そのタイミングに驚かされました。友達と一緒におばさんのことを「あの人、きっと一日中、家のドアの前に張りついて待ってるよねー」なんて言っては笑っていました。

当時の私は怒鳴られたのが悔しくて、「絶対におばさんの言うことは聞かない」と心に決めたひねくれた小学生でした。今になって考えてみると、確かに廊下は暗いまま(つまり電気はつけない)でもよかった気がしますし、「エネルギー節約」の重要性は、大人になった今のほうが理解できます。同時に大人になったからこそ、「いくら節電が大事だからといって、大人が小学生を怒鳴りつける行為は褒められたものではない」とも強く思うのです。昔の一部のドイツ人が「子どもよりも節約」という考えだったのは確かです。 

「節約」はドイツ語圏についてまわる趣味であり、文化なのかもしれません。


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文=サンドラ・ヘフェリン

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