ドイツには、「休日になると森を歩く」という人が少なからずいて、国民の生活に深く根付いています。森林率は国土のおよそ32%と日本より少ないのですが、ほとんどが「山にある森」の日本と異なり、ドイツの多くの森が平地にあるため、散策にぴったりというわけです。森の中をマイボトル持参で歩くのは、エコで節約になる、ドイツ流のレジャーのひとつと言えるでしょう。
ちなみに、森林の生態系調査をしたり、伐採計画を行ったりする「森林官(Förster)」は、ドイツならではの専門職。大学の森林学部で学び、国家資格を得た彼らのほとんどは公務員です。森林保護、管理、伐採計画や環境保全も行う、行政と結びついた「森を守るプロフェッショナル」である森林官は、子どもたちの憧れの職業とされているほどです。
林業に力を入れるドイツ
さらに、林業の実務を行う「林業マイスター」もいます。ドイツの職人はマイスター(Meister)と呼ばれるプロフェッショナルです。国家資格ゲゼレ(Geselle)を取得した後、キャリアアップや起業に向けて、各業種の師匠のような立場を目指すための資格が「マイスター」です。
マイスター資格には2種類あります。「手工業マイスター」は、製菓や製パン、ハム・ソーセージの食肉加工、ビール醸造、義肢装具製作、木工家具製作など。「工業マイスター」は電気設備士、自動車整備士、産業機械工など。「工業マイスター」は企業に勤めるケースが多く、「手工業マイスター」は独立するケースが目立ちます。
ゲゼレやマイスターを目指す場合、小学校を卒業したら大学進学ルートとなるギムナジウム(Gymnasium)ではなく、基幹学校(Hauptschule)や実科学校(Realschule)に進むのが一般的です。「画一的な勉強よりも手に職をつける教育システム」と言われますが、マイスターとは、ゆくゆくは後輩を育成する立場です。そこで経営学や教育学、技術開発についても学ぶ必要があります。資格取得に集中するか、働きながら目指すかによって、マイスターになるまでの年数は様々です。
こんなふうに現在のドイツは林業に力を入れていますし、歴史を振り返れば、ドイツの哲学や文学、そして音楽は豊かな森で育まれたとも言えます。
年齢を重ねたら、深い森を歩きながら、節約に励む。これはドイツ人にとって、ごく自然なことかもしれません。街中のゴミ箱を漁るようなこととは違って、森の中を散歩しながら目についた空き瓶を回収するのは、なかなか楽しそうです。
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