人型ロボット(ヒューマノイド)の商業用途向けの大規模な導入は、早ければ2028年にも始まる見通しだ。バンク・オブ・アメリカ(BofA)の新たなレポート(2025年4月発表)によると、これらのヒューマノイドの年間出荷台数は、2030年までに100万台に達し、1台あたりの製造コストは1万7000ドル(約245万円。1ドル=144円換算)にまで低下する可能性があるという。
BofAグローバル・リサーチの担当者によると、ヒューマノイドは今後の10年で3段階のプロセスを経て普及すると考えており、最初は物流や産業分野から始まり、ビジネスやサービス分野を経て、最終的に家庭向けに広がるという。「2060年までに世界で推定30億台のヒューマノイドが所有されると予測している」とBofAは述べている。
この30億台という予測は、次の3つの前提に基づくものだ。
・ヒューマノイドが世界の産業部門の人間の従業員の20%を置き換える
・ヒューマノイドが産業・サービス部門で1.5〜2.5人分の仕事を代替する
・ヒューマノイドの普及率が一世帯あたり0.7台に達する
BofAのレポートによると、ヒューマノイドの大規模な普及が最初に始まるのは2028年から2034年にかけてで、商業用途が中心になるという。その次の普及期は2035年以降の見通しで、家庭向けやそのほかすべての用途向けになるという。
2060年までに出荷される30億台のうち、20億台が家庭向け
未来学者のピーター・ディアマンディスは、将来的にヒューマノイドの利用がすべての家事をはじめ人々の暮らしのあらゆる分野に広がり、医療や高齢者介護、製造業、輸送、サービス業、さらにはエンタメ業界にまで及ぶと予測している。そしてその未来はすでに始まりつつある。BofAは、2025年のヒューマノイドの出荷台数が1万8000台に達する見込みで、2030年までに世界全体の出荷台数が年間最大1000万台に達すると予測している。
また、ここで興味深いのは、2060年までに出荷される推定30億台のヒューマノイドのうち、約20億台が家庭で使用されるという予測だ。サービス業で使用されるのは約10億台で、産業分野では数億台にとどまるという。
もしこの通りになれば、それは人間の労働者にとって良いニュースかもしれない。というのも、家庭用ヒューマノイドの多くは、誰かに雇われて働いている人の仕事を奪うのではなく、人々の日常の家事を置き換えることになるからだ。