北米

2025.05.11 11:00

イーロン・マスクの重力圏から逃れられない弟キンバル、静かなるもう一人の億万長者の人生

キンバル・マスク(Photo by Michael Loccisano/Getty Images)

キンバル・マスク(Photo by Michael Loccisano/Getty Images)

イーロン・マスクの一つ年下の弟のキンバル・マスクは、ここ数十年の間、兄のビジネスとの関わりから大きな富を築いてきた。カウボーイハットをかぶった姿でよく知られる53歳のキンバルが保有する資産は、スペースXとテスラの株の持ち分によって約9億ドル(約1290億円)に達しているとフォーブスは推定している。

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彼の資産は、テスラの株価が史上最高値を記録した昨年12月時点では、13億ドル(約1860億円)に達していた。2004年にテスラの取締役に就任したキンバルは、手厚い株式報酬を受けとっており、2010年以降にそのうちの2億6200万ドル(約380億円)相当を売却したが、それでもなお3億8000万ドル(約540億円)相当の同社株を保有している。

キンバルはまた、2002年から2022年にかけてスペースXの取締役を務め、未公開株市場で1億ドル(約140億円)相当の株式を売却したが、今もなお約2億ドル(約290億円)相当の同社株を保有している。

キンバルは、3630億ドル(約52兆円)の資産を保有する世界一の富豪であるイーロン・マスクを頂点とする富豪集団「マスクトクラシー(Musktocracy)」の一員ではあるが、彼が自身で立ち上げたビジネスは、イーロンの事業と比べるとはるかに成功からほど遠い。

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キンバルは、この記事の取材に応じなかったが、フォーブスは彼と直接仕事をしたことがある8人に話を聞いた。彼らによると、キンバルはビジネスよりも料理を好む気さくな人柄で知られているが、彼はまた、常にイーロンの重力圏から逃れられずに生きてきた人物でもあるという。

「彼はいつも、イーロンに恥をかかされているように見えた」と語るのは、2006年から2010年にかけてキンバルがCEOを務めたSNSのスタートアップ「OneRiot」に勤めていたある人物だ。彼によれば、キンバルはイーロンに命じられてエンジニアの10%をレイオフしようとしたが、社内からの反発を受けて取り下げたという。「彼はシステムの構築やエンジニアリングを理解していなかった。だからみんなをイライラさせていた。キンバルは、本当は料理だけをしていたかったんだ」と彼は続けた。

キンバルの料理への情熱は、実際に2つのフードビジネスへとつながった。彼が最初に手掛けたレストラン「The Kitchen」は、コロラド州ボルダーに2004年に最初の店をオープンして以降、3店舗に拡大し、評論家や来店客から好意的な評価を受けている。

キンバルはまた、2016年に「Square Roots」という都市型農業のスタートアップを設立し、同社にはイーロンの親友アントニオ・グラシアスやトランプ政権の政策顧問を務めるデービッド・サックスらの投資会社が約9000万ドル(約130億円)を出資した。しかし、Square Rootsは2023年に大半の従業員を解雇。「農業のサブスクサービス」への事業転換を発表したものの、目立った成果を上げていない(訳注:Square Rootsは2024年12月に日本法人を設立し、AIを活用した屋内農業プラットフォームを日本の各地に導入していくと発表した)。

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編集=上田裕資

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