北米

2025.05.11 11:00

イーロン・マスクの重力圏から逃れられない弟キンバル、静かなるもう一人の億万長者の人生

キンバル・マスク(Photo by Michael Loccisano/Getty Images)

キンバルはまた、ドローンを用いたライトショーを展開するスタートアップ「Nova Sky Stories」を立ち上げたが、この事業もまたイーロンの人脈に依存している。同社の最も著名な顧客であるカタールの政府系ファンドは、イーロンのXやxAIにも出資しており、カタール航空はイーロンのスターリンクとの提携で機内Wi-Fiの導入を進めている。Nova Sky Storiesは、ここ最近ではテスラの自動運転車を宣伝するイベントでライトショーを手掛けたほか、テキサス州オースティンのギガファクトリー開所式やサイバートラックのローンチイベントでもショーを行っていた。

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料理への情熱

二人は、1970〜80年代の南アフリカで子供時代を過ごしたが、その頃イーロンがSF小説を読んでいた一方で、15カ月年下のキンバルは、当時から食や料理への情熱を育んでいた。キンバルが初めて自分で料理を作ったのは11歳のときのことで、最初に覚えたメニューは、ローストチキンとフライドポテトだったという。

「母はいつも茶色いパンにプレーンヨーグルトとか、茹でたカボチャとかを作っていた。子どもにとって想像しうる限りの一番まずいものばかりだよ」とキンバルは昨年、レックス・フリードマンのポッドキャストで回想した。「だから言ったんだ。『料理してもいい?』って。母は『やりたいならどうぞ』って言ってくれた」

料理を通じて、キンバルは家族との団らんという望んでいた時間を手に入れた。「料理を作れば、家族と一緒の時間を過ごせる。他の手段では得られない、強いつながりを料理で持てたんだ。これはすごい力を持っているって思ったよ」

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高校を卒業したキンバルは、すでにカナダのトロントに移住していたイーロンと母と姉たちのもとへ向かった。大学は兄にならってオンタリオ州キングストンのクイーンズ大学に進学。イーロンは2年後にペンシルベニア大学へ転校したが、キンバルはそのまま残り、1995年に経営学の学位を取得して卒業した。

キンバルは、卒業前からすでにイーロンの最初のスタートアップであるオンライン事業者登録サービス「Zip2」の立ち上げに関わっていた。パロアルトの小さなオフィスで、兄弟はオフィスに寝泊まりし、シャワーはYMCAで済ませていたと、ウォルター・アイザックソンが執筆したイーロンの自伝には書かれている。二人は取っ組み合いの喧嘩をすることもしばしばで、特に激しいものではキンバルがイーロンの手に噛みつき、皮膚を食いちぎったことがあった。「僕は兄を本当に大好きなんだけど、一緒に働くのは大変だった」とキンバルはアイザックソンに語っている。

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編集=上田裕資

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