シンガポールのチャンギ空港を運営するチャンギ・エアポート・グループ(CAG)は5月5日、シンガポール政府が旅行需要の創出に取り組む中で、過去最大の旅客ターミナルの建設に向けて総額48億シンガポールドル(約5320億円)の2件の契約を締結した。
新たに建設される「ターミナル5」は、年間の旅客取扱能力が5000万人になる予定だと同社は発表で述べている。チャンギ空港は世界でも最も利用者数が多い空港の一つで、昨年の旅客数は約6800万人に達していた。
今回の入札では、中国交通建設と日本の大林組のシンガポール法人による合弁会社が、38億シンガポールドル(約4220億円)の基礎工事契約を獲得した。一方、空港施設の整備に関する9億5000万シンガポールドル(約1050億円)の契約は、地元の建設会社のファ・セン・ビルダーが受注した。
「基礎工事および空港施設の請負業者選定は、ターミナル5の建設開始に向けた大きな前進だ」と、チャンギ空港のチャンギ・イースト部門マネージングディレクターのオン・チー・チャウは声明で述べた。新たなターミナルの建設は今年の前半に始動し、2030年代半ばの完成が見込まれている。
オンによると、シンガポールで最も複雑な建設プロジェクトの一つであるターミナル5の建設は、すでに建設中の第3滑走路や物流施設などを含む大規模プロジェクト「チャンギ・イースト開発」の一環だという。
CAGの発表によると今回の基礎工事契約には、旅客ターミナルと地上交通センターの基礎および地下構造物の建設のほか、既存のターミナル2とターミナル5を結ぶトンネルの建設が含まれている。基礎構造の敷地面積は140万平方メートルで、深さは最大28メートルに達するという。空港インフラの工事には、駐機場や誘導路の建設に加え、補助的な建物の整備が含まれる。
「当社はターミナル5の建設にあたって、パートナー企業との取り組みでチャンギ空港の高い基準を満たそうとしている」とオンは述べている。
チャンギ空港は先月、英国の航空コンサルタント会社スカイトラックスが主催する「ワールド・エアポート・アワード」で世界最高の空港に選ばれた。同空港は、2024年にこの称号を手にしたカタールのハマド国際空港からその座を奪還した。



