経営・戦略

2025.05.08 08:00

「テスラ失墜」イーロン・マスク万策尽きたか、トランプ政権参加で米国人の7割が否定的

カリフォルニア州サンディエゴにあるテスラショールーム(Photo by Kevin Carter/Getty Images)

「バッテリー事業」も崩壊へ

テスラは、トランプ政権の関税に対しては比較的耐性がある。というのも、同社はカナダやメキシコを含む国外で生産された車両を米国に輸入していないからだ。だが、同社は依然として鉄鋼やアルミニウム、自動車部品などを海外から調達しており、それらのコスト上昇の影響を受ける。特に打撃が大きいのは、EV以外でもっとも成功している事業のエネルギー生成・蓄電部門であり、これは住宅や電力会社、企業向けにバッテリーパックを販売する事業だ。第1四半期のこの部門の売上は、前年同期比67%増の27億3000万ドル(約3900億円)だった。

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しかしこのバッテリーパックには、中国製のリン酸鉄リチウムイオン電池(LFP)セルが使われており、今後は中国からの輸入品に対する145%の関税で大きな打撃を受けることになる。テスラは今年、世界最大のEVバッテリーメーカーである中国のCATLとライセンス契約を結び、ネバダ州のギガファクトリーでLFPセルの製造を開始する予定だった。これらはEV用のリチウムイオンセルよりも安価な選択肢となるはずだったが、計画は頓挫した。

「エネルギー事業への関税の影響は、特に大きくなる。というのも、我々はLFPセルを中国から調達しているからだ」と、テスラの最高財務責任者(CFO)のヴァイバヴ・タネジャは決算説明会で語った。「我々は現在、米国内でLFPセルを製造するための設備の立ち上げを進めている。しかし、その設備では、現時点の総設置容量のごく一部しか対応できない」

これはつまり、テスラの大型バッテリーパック「メガパック」が大幅に値上がりすること。さらに、中でも再生可能エネルギー由来の電力を貯蔵するためにそれを購入してきた、電力会社の需要が減少することを意味する。

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「米国内では、テスラを含め誰もLFPセルを作っていない。145%の関税は、あらゆる企業にとって価格の上昇を意味する」と、報復を恐れて匿名で取材に応じたテスラのバッテリー事業に詳しい人物は語った。「電力会社は、そんな高価格には耐えられない。これは競争でテスラが負ける話ではない。この場合、市場そのものが消滅する」

長年マスクのファンだったが、今や批判者となった投資会社ガーバー・カワサキを率いるロス・ガーバーは、マスクが政府の業務を減らすとしても、テスラの戦略を立て直すアイデアがあるとはまったく思えないと語る。

「テスラにとって何か劇的に良い変化が起こるとは思えない。問題の解決にはならないんだ」と彼は語った。

forbes.com 原文

編集=上田裕資

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