経営・戦略

2025.05.07 13:00

決算で株価20%急落、ジャック・ドーシーの「Block」は再生可能か?

ジャック・ドーシー(Photo by Joe Raedle/Getty Images)

ジャック・ドーシー(Photo by Joe Raedle/Getty Images)

ビリオネアのジャック・ドーシーが率いるフィンテック企業Block(ブロック)の株価は、米国時間5月2日の市場で約20%急落した。これは、同社がその前日に予想を下回る2025年第1四半期(1〜3月)の業績とガイダンスを発表したためだ。

小規模事業者向けのクレジットカードリーダーやPOSソフトウェアを手がける「Square(スクエア)」と、人気のバンキングアプリ「Cash App(キャッシュアップ)」を所有しているブロックは、粗利益が前年同期比で9%の成長にとどまり、当初予想していた11%を下回ったと発表した。また、2025年通期の粗利益成長予測も従来の15%から12%へと引き下げた。

同社の成長スピードは、過去2年間と比べると著しく減速している。ブロックの粗利益は、2023年と2024年にそれぞれ25%と18%も伸びていた。同社株価の下落を受けて、ドーシーの保有資産は約6億ドル(約858億円)減少して32億ドル(約4600億円)になったとフォーブスは見積もっている。

ブロックの最高財務責任者(CFO)のアムリタ・アフージャによると、2月と3月の顧客のCash Appへの入金額(チャージや直接入金など)は、消費者の支出が鈍化し、特に旅行や娯楽への支出が落ち込む中で予想を下回ったという。彼女は、この消費の減退を踏まえた上で、通期見通しを慎重に見積もっていると話した。

過去5年間、ドーシーが率いる同社の株価は、PayPal(ペイパル)を除く他の主要なフィンテック企業に比べて、はるかに大きな浮き沈みを見せてきた。サンフランシスコに拠点を置く同社は、2009年に旧称のSquare(スクエア)として創設され2021年にブロックに改称した。同社の時価総額は、2021年に一時1100億ドル(約15兆8000億円)を超えたが、2022年のフィンテック市場の低迷でその大部分を失った。

現在の時価総額は現在、280億ドル(約4兆円)にまで落ち込んでおり、これは2021年に買収した「BNPL(後払い)」決済サービスで知られたAfterpay(アフターペイ)に支払った額よりも10億ドル(約1430億円)少ない水準だ。現在ドーシーは、社内の業務効率の改善やSquare事業のイノベーション、営業部隊の強化、Cash Appの収益最大化、そしてビットコイン用マイニング機器の販売など、さまざまな手を打って会社の立て直しを図っている。

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編集=上田裕資

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