経営・戦略

2025.05.07 13:00

決算で株価20%急落、ジャック・ドーシーの「Block」は再生可能か?

ジャック・ドーシー(Photo by Joe Raedle/Getty Images)

「営業部隊」を各地に配備

ドーシーはまた、Squareの営業戦略を刷新している。同社は、これまでコーヒーショップのようなマイクロビジネスを主な顧客とし、大規模な営業部隊を持たなかった。しかし、過去2年間で年商50万ドル(約7150万円)以上の中規模事業者へのシフトが進み、2024年後半には「フィールドセールス」体制を立ち上げ、営業担当を各地に置くようになったとCFOのアフージャは語った。彼女によれば、Squareの決済取扱高は4月に9.6%成長し、市場シェアも再び拡大しているという。

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一方、Cash Appについては、成長の再加速に向けた複数の取り組みが進行中だとアナリストたちは見ている。特に力を入れているのが、給与の直接入金(ダイレクトデポジット)を促すことだ。これによりアプリの利用頻度が上がり、ブロックにとっては購入や借入を通じた収益拡大につながる。

しかし、スチョスキによれば、ドーシーはこの取り組みをコロナ禍の以前から続けているものの、いまだに強い成果を得られていないという。2024年12月時点で、Cash Appの5700万のアクティブユーザーのうちダイレクトデポジットを設定しているのは250万人で、前年比25%の増加にとどまった。この領域では、大手銀行やChimeなどのデジタル銀行が強力なライバルだ。Chimeは設立以来、ダイレクトデポジットの推進を続けており、2024年5月時点で月間アクティブユーザー700万人のほとんどがこの機能を利用していると同社はうたっている。

小口ローン事業「Borrow」への期待

Cash Appにとって、より有望な成長分野は「Borrow」だ。これは短期の小口ローンで、同社は5%の手数料を徴収する。ブロックは第1四半期決算で、このサービスの対象者をほぼ倍増させると発表した。これは、同社が最近、連邦預金保険公社(FDIC)からの承認を受けたことで、Squareが数年前に取得した銀行免許を活用した、Cash App経由での消費者向けローンの展開が可能になったためだという。

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スチョスキは、ブロックの貸付事業であるBorrowや、Afterpay、Square Loansなどが、30~40%の年間粗利益成長を担っていると見積もっている。Afterpayは過去2年間で四半期あたり20~25%成長しており、他の大手のBNPL企業と同程度の拡大を続けているという。

一方で、米国経済の景気後退への懸念が強まる中で、特に低所得者層を対象とする融資事業のリスクを懸念する投資家もいる。アフージャは、給与の直接入金があるユーザーの融資上限を引き上げていると述べた。また、現在のところ返済率は安定しており、平均貸付期間が30日未満であるため、延滞が増えればすぐに対応できると話した。

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編集=上田裕資

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