成長の鈍化と競合の台頭
ブロックの大幅な株価の下落の原因は、Cash AppとSquareの両事業における成長の鈍化にある。Cash Appは、購入や個人間の送金・借入などさまざまな機能を備え、月間アクティブユーザーは5700万人に上る。しかし、この部門のユーザー数は過去16カ月間まったく増えていない。
また、ブロックのスモールビジネス向け事業Squareも大幅に減速している。「Squareはかつて、マーケットシェアを急拡大させていたが、今ではそのシェアを維持するのに苦戦している」とAutonomous(オートノマス)の株式リサーチアナリスト、ケン・スチョスキは述べる。
この背景には、競合の「Toast(トースト)」や決済大手Fiserv傘下の「Clover(クローバー)」などが急速に拡大していることが挙げられる。Toastは新規開店するレストランの50~60%を獲得しているとスチョスキは言う。投資銀行エバーコアISIでフィンテックリサーチを担当するアダム・フリッシュは「Toastは最高の製品だが、最も高額なサービスでもある」と語った。
フリッシュは、Squareの不調の原因が「組織のフォーカスの欠如と製品開発の停滞という自業自得の結果」だと指摘する。「ドーシーの会社は、あれだけの規模になってなお、組織的な厳格さがなかったことに驚いている」と彼は語った。ただし、フリッシュは「過去1年間で状況は大きく改善したと」とも語った。
2025年2月の第4四半期決算発表で、ドーシーはこの点に言及していた。彼はその際に、Squareが創業以来で初めて「全社的に優先順位のついたロードマップを策定し、すべてのプロダクト・サービス・機能領域に担当責任者を置いた。これにより、責任の所在が明確になった」と語ったという。
フリッシュは、こうした動きはウォール街では見過ごされたが、運営面では極めて重要だと述べる。先週、ブロックは複数存在していたSquareのアプリをひとつに統合し、ユーザー体験の向上とソフトウェアサービスの拡充を図ると発表した。


