経営・戦略

2025.05.07 12:00

ウォーレン・バフェットが「最後の株主総会」で語った米国への楽観

ウォーレン・バフェット(Photo Agency / Shutterstock.com)

バークシャーの株価は今年、S&P500が3%下落する中でも年初来で19%高という好成績を収めている。同社の株価は、バフェットの指揮のもとで60年間にわたって際立ったパフォーマンスを維持しており、1965年から2024年までの年平均成長率は19.9%と、同期間のS&P500の10.4%を大きく上回っている。こうした実績ゆえに、毎年春になると数万人もの株主がオマハに集い、バフェットをヒーローと称えて質問を投げかけている。

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62歳の後任、アベルへの期待

これからはカナダ人のアベルがその伝説を引き継ぐことになる。現在62歳の彼は、バークシャーが1999年にミッドアメリカン・エナジーを買収した際に同社の社長を務めていた人物で、2018年に副会長に就任するまでの間、バークシャー・ハサウェイ・エナジーを率いていた。現在、約1億8500万ドル(約265億円)相当のバークシャー株を保有するアベルの昨年の基本サラリーは2100万ドル(約30億円)だった。

3日のイベントでアベルはバフェットの隣に登壇した。この日はバフェットの長年の相棒だったチャーリー・マンガーが亡くなってから2回目の年次総会であり、バフェットは何度か故人の助言を引用したが、アベルに発言を譲ることも多かった。

アベルには、幅広い質問が寄せられたが、そこにはバークシャーのエネルギー・公益事業部門が気候変動にどう対応しているかや、彼がバフェットから学んだことなどが含まれた。アベルは、後者の質問に、バフェットの事業の細部へのこだわりに感銘を受けたと語った。彼はまた、自身が子どもたちのホッケーや野球チームでコーチを務めていることに触れて、「教える」ことについての姿勢を株主に伝えた。アベルは、今後彼が任される莫大なキャッシュの使い道に関しても、バフェット流から大きく外れることはなさそうだ。

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「我々はこれを戦略的資産と認識している。現金は、困難な時期を乗り切るためのツールであり、外部に依存しなくても済むようにするためのものだ」とアベルは語った。彼はまた、「我々は辛抱強く構えているが、いざという時に迅速に動けるよう、大量の資料の読み込みや分析を決して怠っていない」と付け加えた。

バフェットの人懐っこいキャラクターや卓越した投資眼は、そう簡単に引き継げるものではないが、株主たちは、彼が後継者の選定においても同じ成功を収めてくれることを願っている。バフェットは、今後もアベルへの助言は続けると述べ、バークシャーの取締役会とともに、自身が何らかの正式な役職に残るかどうかを検討すると話した。ただ、もしこれが株主に向けた最後のスピーチになるのだとしたら、感謝の気持ちを伝えておきたいと語った。

「自分が恵まれていることを、後ろめたく思う必要はない」とバフェットは話した。「世界に80億人もの人々がいる中で、3億3000万人しかいない米国に生まれたことは、それだけで、すばらしい幸運だ。その幸運を最大限に生かし続けてほしい」と彼は続けた。

forbes.com 原文

編集=上田裕資

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