経営・戦略

2025.05.07 12:00

ウォーレン・バフェットが「最後の株主総会」で語った米国への楽観

ウォーレン・バフェット(Photo Agency / Shutterstock.com)

イーロン・マスクが率いる政府効率省(DOGE)が国の長期的な健全性にプラスの影響を与えているか否かという質問に対してバフェットは、その取り組みに対する直接的な言及を避けたが、国の歳出が歳入を大幅に上回る中で、こうした取り組みがあるのは良いことだと語った。

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「歳入と歳出の差が約7%に達している状況を是正するような仕事は、私がやりたいものではない」とバフェットは述べつつ、「3%の差であれば持続可能だろうが、今のような状態は望ましくない。私はやりたくないが、やるべき仕事だと思う。議会がそれをうまくやれるとは思えない」とバフェットは語った。

これは、この日の彼の発言において最も辛辣な部類のものだったが、それでさえも彼は、その最後を前向きな言葉で締めくくった。「これは、世界史上最も成功した国が抱える問題なのだ」とバフェットは語ったのだ。つまり、彼はどのような発言であっても「米国は特別な国だ」という枠組みの中で語っていた。

「この国には、かつて世界が見たことのないような資本を生む仕組みや、知性を生み出す仕組みがある」とバフェットは付け加えた。「それを台なしにする方法を選ぶとしたら、それは通貨に関するものになる」

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50兆円のキャッシュ

3470億ドル(約50兆円)もの現金を保有する企業のトップという立場にあるバフェットが通貨の問題を懸念するのは、不思議なことではない。2025年第1四半期末時点で、バークシャーの総資産の30%を現金が占めていた。同社は、2024年には、6億株のアップル株を売却して1000億ドル(約14兆円)以上を得ていた。3日の株主総会の冒頭で、バフェットは観客席にいたアップルのティム・クックCEOを紹介し、「ティムは、私がバークシャーに稼がせた以上の金をバークシャーにもたらしてくれた」と述べた。この自虐的なジョークは、ユーモアと謙虚さ、そして誠実さが入り混じったものだった。

バフェットは、保有する巨額の現金をいつ、何に使うつもりなのかについては一切明言しなかったが、「私たちは、現金を持っていて本当に良かったと思えるような機会に次々と出くわすことになるだろう」と予測した。「それが明日起こる可能性は低いが、5年以内に起こる可能性は十分にある。時間が経つほどその確率は高まっていく」と彼は続けた。

市場のボラティリティに関する質問で、今年の2月から4月8日までの期間のS&P500が19%下落し、その後14%戻したという変動について問われたバフェットは、投資家たちの不安を一蹴した。「過去30〜45日の動きなんて、大したことじゃない。私が1965年にバークシャーを買収して以来、株価が50%下落したことは3度ある」と彼は言った。「株価が15%下がったかどうかが気になるようなら、投資哲学を少し見直した方がいい」

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編集=上田裕資

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