AI

2025.05.08 12:00

全児童にAI教育を義務化すべきか? 中国・韓国はすでに義務化、米国も前進

Shutterstock.com

Shutterstock.com

「フォーチュン500」の有力企業から成長著しい新興企業に至るまで、最高経営責任者(CEO)250人以上が、全米の幼稚園児から高校生までの教育課程で、コンピューターサイエンスと人工知能(AI)教育の必修化を求める公開書簡に署名した。幼少期からこうした訓練を受けなければ、子どもたちはテクノロジーに支配された世界で後れを取る危険性があるという。

書簡に署名したのは、アドビ、アクセンチュア、AMD、アメリカン航空、ブルーオリジン、コグニザント、デル、ドロップボックス、IBM、リンクトイン、リフト、マイクロソフト、セールスフォース、ウーバー、ヤフー、ズームといった有名企業のCEOだ。

書簡には、次のように記されている。「AIの時代にあって、私たちは子どもたちを未来に備えさせる必要がある。子どもたちを単なる消費者ではなく、AIの創造者としなければならない。AIが主導する経済で、コンピューターサイエンスとAIの授業を受けることは、技能格差や賃金格差を縮め、世界のAI競争で米国が主導し続けるための最も有力な方法だ。変化はすでに始まっている。この運動は超党派の支持を得ている。この10年間で全米の50州すべてが1歩を踏み出し、コンピューターサイエンスを教える教師の数は10万人に達している」。

米国の12の州では現在、学校で基本的なコンピューターサイエンスの習得が義務付けられているが、今回の書簡ではさらに多くのことが求められている。「私たちには次世代を新たなアメリカンドリームに備えさせる責任がある。私たちは次世代を担う子どもたちに、現代の要求を反映した教育を提供する義務がある」。

アラブ首長国連邦は今週、来年度から公教育のすべての学年にAI教育を導入すると発表した。同国以外にも、ブラジル、中国、韓国、シンガポールは、すでに全生徒にコンピューターサイエンスまたはAI教育を義務付けている。

米国のドナルド・トランプ大統領は4月23日、国内の子どもたちに幼少期からAI技能を育成するための大統領令に署名した。そこには、コンピューターサイエンスとAIの教師を養成するための助成金や、学校の人材を強化するための官民協力、幼稚園児から高校生までのコンピューターサイエンスとAI教育の進捗状況を追跡するための全国AI教育作業部会の設立などが含まれる。大統領令には、「AIの概念を早期に学ぶことは、この強力なテクノロジーを解明するだけでなく、好奇心と創造性を刺激し、将来の労働力に積極的で責任ある参加者となる生徒を育成するとともに、わが国を科学的・経済的達成の新たな高みへと推進する次世代の米国のAI開発者を育成する」と記されている。

米ブルッキングス研究所の調査では、高校でコンピューターサイエンスの授業を1回受けると、生涯賃金が8%、就職率が3%上昇することが示された。OpenAIの対話型AI「ChatGPT」のような生成AIがカンニングを助長し、生徒の批判的思考や作文能力を損なうのではないかと懸念する教育関係者もいる。だが、学校教育でのAIの利点について、これほど多くの企業経営者が議論に参加していることは、AI技能を米国の教育の中核に据えようとする動きが強まっていることを浮き彫りにしている。

forbes.com 原文

翻訳・編集=安藤清香

タグ:

advertisement

ForbesBrandVoice

人気記事