そしてこれは、「グリーンウォッシング」のジレンマをもたらす。グリーンウォッシングとは、製品やブランドが実際より持続可能であると消費者に誤解させる行為で、ファッション界で最も根深い問題とも言われている。
恐らくあなたも目にしたことがあるだろう。「意識の高い」「責任ある」「地球に優しい」などと名づけられたコレクションは、柔らかな照明とナチュラルカラーに包まれている。例えば、オーガニックコットンを5%しか含まない「持続可能な生地」を使ったTシャツ。あるいは、カーボンニュートラルをうたいながら、自社のカーボンオフセットが検証済みかどうかを開示しないブランド。スウェーデンのアパレル大手、ヘネス・アンド・マウリッツ(H&M)のような世界展開する企業でさえ、持続可能性に関するマーケティングが消費者の誤解を招くとして非難されている。訴訟では、持続可能な素材を50%使用していると宣伝していた商品が、実際にはポリエステル100%であったことが判明した。
ここで、ティックトックに投稿された動画が、製造過程の単なるのぞき見以上のものになる。これまでサプライチェーン関係者しか知り得なかった情報を、消費者が入手できるようになったのだ。もし消費者が製品の原産地や製造方法を、実際に作っている人から直接知ることができれば、ブランド企業はグリーンウォッシングをしにくくなるだろう。
これはブランドにとって何を意味するのだろうか?
私たちは消費者の力の新たな時代を迎えつつある。消費者はこれまで以上に情報に敏感かつ懐疑的で、動画アプリなどを通じたつながりを持っている。ブランドが発信する派手な広告や洗練された宣伝だけではもはや十分ではない。ブランド側の主張の中に問題が見つかれば、直ちに非難の的となる。
リスクは評判だけでなく、顧客との関係性にも及ぶ。ブランドは信頼の上に築かれるものであり、今日では価値が価値を高めているからだ。消費者は単に製品を買いたいだけでなく、約束が行動に反映されている企業から買いたいのだ。
賢明なブランドはこうした動きに抵抗するのではなく、むしろこれに沿って動いている。例えば、英国の靴メーカー、ビボベアフットを見てみよう。同社の年次報告書には、再生可能な事業への取り組みが説明されており、成功と失敗の両面が記されている。これは、説明責任を果たし、学びを共有するために、自社の努力を透明性のある形で公開するものだ。
ファッション業界の新たな流れは透明性
透明性は完璧性ではなく、誠実さを意味する。消費者が企業の誠実さにお金を払う傾向はますます強まっている。なぜなら持続可能性は、私たちが購入する製品の中だけに存在するものではないからだ。持続可能なファッションは、その製品がどのように、誰によって、どのような条件の下で作られるかに存在している。持続可能性は、米画像共有アプリ「インスタグラム」に添えられた説明文の中だけでなく、「より良いものを買う」ことが現実となる物語全体の中にある。


