宇宙

2025.05.09 17:00

NASA、月と火星にヒトを送る計画に全集中 総予算24%カットで日本も対応迫られる

NASAの超大型ロケット「SLS」(スペース・ローンチ・システム)(c)NASA

対応を迫られる企業と、月への代替機

米国行政管理予算局(OMB)が発表した「大統領予算要求」(PBR)は、2026年度予算(2025年10月~)に関して大統領の考えを示した「予算教書」の簡易版であり、5月後半に完全版が発表されれば上下院がそれぞれ審議して採決される。

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今回発表された書簡には、「SLSロケットは1回の発射に40億ドル(約5760億円)が掛かり、予算を140%超過している」とあるが、SLSとオリオン宇宙船の開発には、開発スタート時の2011年から2023年までに545億9900万ドル(約7兆8623億円)が費やされており(地上施設含む)、当初予定の4倍以上に達している。

SLSの開発製造の主契約者はボーイングであり、同社は主にコアブースター(第1段)を担当する。また、その両脇に搭載される2基の固体ロケットブースターはロッキード・マーティンが製造し、ULA社もそれらの製造に関わっている。第1段と2段のエンジンはエアロジェットロケットダインが主契約者。また、オリオン宇宙船の開発製造は主にロッキード・マーティンとエアバスが請け負う。SLSとオリオンは、その部位を他に流用することが難しいと見る専門家が多く、その開発中止が決定されれば、これらの国策企業が巨額の赤字を計上し、数万人の雇用が失われることになる。

アルテミス1計画で2022年に打ち上げられたオリオン宇宙船。月の向こう側、地球から42万6000km離れた遠地点から撮影(c)NASA/JSC
アルテミス1計画で2022年に打ち上げられたオリオン宇宙船。月の向こう側、地球から42万6000km離れた遠地点から撮影(c)NASA/JSC

SLSとオリオンの代替候補を考えた場合、有人飛行であればスペースXの「スターシップ」が挙げられるが、その開発は大幅に遅れており、実運用の開始時期は不透明な状態にある。また、過去にはスペースXの宇宙船「クルードラゴン」を「ファルコンヘビー」で打ち上げて月に送るプランも検討されたことがあり、場合によってはこの案が復活することも考えられる。

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月への物資輸送の代替機は多く、スペースXのスターシップ(月周回軌道へ150トン)、ファルコンヘビー(推定21トン)のほか、ULAのヴァルカン(推定18トン)、アトラスV551(推定15トン)、ブルーオリジンのニューグレン(7トン)、JAXAと三菱重工のH3-24(6トン)などがある。また、ULAはコアブースターを3基つないだ「ヴァルカンヘビー」の開発を計画している。

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編集=安井克至

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