政治

2025.05.06 12:00

ウクライナ情勢巡る米大統領の「間違った」見解、かつての盟友まで敵に

大阪で開催された20カ国・地域首脳会議(G20サミット)で、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領(左)と会談する米国のドナルド・トランプ大統領。2019年6月28日撮影(KREMLIN PRESS OFFICE/HANDOUT/Anadolu Agency/Getty Images)

米戦争研究所などのデータによれば、ロシアは侵攻開始以降約90万人もの死傷者を出しながら、2022年4月以降に獲得したウクライナ領土はそれほど大きくない。ウクライナが国内で兵器を製造し、欧州諸国が同国への支援を継続していることを考慮すると、米国が対ウクライナ支援を打ち切ったとしても、ロシアがウクライナ軍を制圧するという脅威は短期的にはない。

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開戦以降、複数回にわたって前線を訪れている米カーネギー国際平和基金(CEIP)のマイケル・コフマン上級研究員は「前線は崩壊しそうにない」とみている。「ウクライナ軍が(一部を掌握していたロシア西部の)クルスク州から大部分が撤退したにもかかわらず、(ロシア軍の攻撃が続くウクライナ東部ドネツィク州の)ポクロウシクから(東部ハルキウ州の)クプヤンシクまでの全体的な状況は改善した。つまり、ウクライナ側は不利な条件に追い込まれ、直ちに停戦を必要とするほどの絶望的な状況にはないということだ」

ウクライナは世界最強の無人機(ドローン)部隊を編成することで、ロシア軍の人的資源の数的な優位性に対抗している。米首都ワシントンに拠点を置く新アメリカ安全保障センターのステーシー・ペティジョン上級研究員は、ドローンは安価でありながら、かつてない規模の能力を持つことから、戦場を一変させたと説明する。「ドローンは、戦力を集中させ、奇襲を仕掛け、攻撃作戦を遂行することを困難にしている」

トランプ大統領のロシアに有利な和平案には米保守派からも批判が

トランプ大統領がウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領に署名を促した和平協定案で、米政府がロシアに譲歩したことを巡っては、ウクライナを支持する米国の保守派からも批判が出ている。この和平案について報道されている情報を総合すると、米国は対露制裁を解除し、2014年のロシアによるクリミア併合を承認するとともに、ロシアは現在占領しているウクライナ領にとどまる。他方で、ウクライナのNATO加盟は認めず、同国の安全保障にも関与しないことになる。

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こうした内容を巡り、トランプ大統領の盟友だった英国のボリス・ジョンソン元首相も、同大統領の提案を激しく非難した。「残忍で一方的な侵攻に対して3年間も果敢な抵抗を続けた後、ウクライナは一体何を得られるのか? (中略)この協定で、現実的にロシアによる3度目の侵攻を阻止できるものがあるのだろうか? 何もない。プーチンによるさらなる残虐行為を防ぐには、ウクライナに対して長期的で信頼できる、そして何よりも適切な資金が確保された安全保障が必要だ。それは、英国、米国、そしてすべての西側諸国が保証すべきものだ」

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翻訳・編集=安藤清香

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