宇宙

2025.05.06 16:00

ハレー彗星のかけらが流れ星となって降り注ぎ、土星の環が消失する今週の夜空

1986年3月8日にイースター島で撮影されたハレー彗星(NASA/W. Liller, Public domain, via Wikimedia Commons)

1986年3月8日にイースター島で撮影されたハレー彗星(NASA/W. Liller, Public domain, via Wikimedia Commons)

来週早々に訪れる満月に向けて、今週はふくらみを増していく上弦の月が夜を明るく照らし、黄道12星座のしし座やおとめ座と共演する。また、ハレー彗星を母天体とする流星群も楽しめる。2025年5月第2週の夜空についてまとめた。

5月6日(火)~7日(水):みずがめ座η流星群が見ごろ

1986年に約76年ぶりに地球に最接近したハレー彗星が太陽系内に残していった塵や破片が地球の大気圏に突入することで生じる流星群、みずがめ座η(エータ)流星群が6日、極大を迎える。

米カリフォルニア州のヨセミテ国立公園で撮影された、みずがめ座η流星群の流れ星と火球(Shutterstock.com)
米カリフォルニア州のヨセミテ国立公園で撮影された、みずがめ座η流星群の流れ星と火球(Shutterstock.com)

流星の活動は5日の日没後から活発になり、日本では6日と7日の夜明け前が見ごろとなる。1時間に10~20個程度が降ると予想される。晴れた空が必須で、観察には忍耐力も欠かせない。なお、ハレー彗星が次に地球に接近するのを目撃するには、2061年まで待たなければならない。

5月7日(水):土星の輪が消失

天文情報サイトIn-The-Sky.orgによれば、2025年5月7日は土星の「秋分」に当たる。これは、土星の環が見かけ上消えてしまう「環の消失」という現象が起こるという点で、地球上の私たちにとって興味深い日といえる。

土星は現在、日の出直前の東の低空でしか見ることができず、天文ファンが望遠鏡を向けることはあまりない。次の観望の好機は、2025年9月21日に土星が地球から見て太陽とちょうど反対側の位置にくる「衝(しょう)」を迎えるまで来ないからだ。しかし、土星で今起こっていることはある意味で地球とよく似ているため、知っておくとおもしろい。

土星は地球時間で約29.5年かけて太陽をの周りを公転している。土星の自転軸は公転軌道面に対して26.7度傾いており、したがって土星には季節がある。土星の環は赤道上にあり、約15年ごとに訪れる「春分」と「秋分」の日には、太陽が土星の環を真横から照らす位置関係となる。太陽の光が当たらないと環は非常に暗くなり、地球からはほとんど見えなくなる。

土星の環の傾きの変化(国立天文台)
土星の環の傾きの変化(国立天文台)

土星の環は同じく約15年周期で地球からの見え方も変わる。2005年は環を横から見る時期にあたり、細い環しか見えない状態が続く。しかし、傾きが少しずつ大きくなるにつれて環の開きも広がり、2032年には最もよく見える状態になる。

今週の星座:うしかい座

「牧夫」の星座であるうしかい座には、太陽系から約37光年の距離にある赤色巨星アルクトゥルス(アークトゥルス)がある。北斗七星の「ひしゃくの柄」のカーブをそのまま伸ばして「春の大曲線」を夜空に描き、明るく輝く1等星アルクトゥルスを見つけよう。そこから上下に扇状に広がる星の並びが、うしかい座だ。筆者には、凧やアイスクリームのコーン、カクテルグラスのように見える。(注:日本ではネクタイの形にたとえられることが多い)

春の星座と「春の大曲線」「春の大三角」(fumimicreative/Getty Images)
春の星座と「春の大曲線」「春の大三角」(fumimicreative/Getty Images)
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forbes.com原文

翻訳・編集=荻原藤緒

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