欧州

2025.05.06 09:00

ロシアが無人機でウクライナの都市にクラスター弾散布か キーウなどで警戒

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ただし、正体不明の金属片を何でもクラスター弾と思い込んでしまうのも問題だ。実際、防空部隊の使用済み薬莢が誤ってクラスター弾と説明されたもある(もっと荒唐無稽な報告では、シャヘドに毒物が塗られていると主張されている。まずあり得ない話だが、少なくとも不用意に近づかないよう警戒を促す効果はあるかもしれない)。

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一方で、シャヘドがばらまく爆発物には、最長1時間の遅延起爆装置や、「振動や光に反応する」処理防止信管が付いているという未確認の報告もある。有効半径は8mといわれる。

ナチの手口を彷彿

ロシアは、ナチ・ドイツが1940〜41年の英本土空襲の際に用いた戦法を踏襲しているようだ。この空襲、いわゆる「ザ・ブリッツ」では当初、通常型の爆弾が使用されていたが、不発弾がより大きな混乱を引き起こすことが分かると、遅延起爆信管付きの爆弾が併用されるようになった。後者の一部にはのちに、対処にあたる爆発物処理班に被害を与えるため処理防止装置も取り付けられた。最終的には、時限装置はなく、処理防止信管だけ付加した爆弾が落とされるようになった。これらの爆弾は、誰かが信管の除去を試みたり、あるいはほかの方法で干渉を受けたりするまで、その場にとどまり続けることになった。

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ドイツ軍は建物のような構造物に対して有効な250kg爆弾などを、各2kgの対人子弾108個をばらまくAB-250-3のようなクラスター爆弾で補完した。ドイツ軍はその子弾を「悪魔の卵(トイフェルスアイアー)」と呼び、英国では落下時に外殻がふたつに開く姿から「蝶爆弾(バタフライ・ボム)」と名付けられた。バタフライ子弾は9m以内の人に致命傷を与え、90m離れていても重傷をもたらすおそれがあった。

防御側はクラスター爆弾の不発弾の後始末に手を焼くことになった。処理すべき弾の数が非常に多く、見つけること自体も通常の不発弾より格段に難しいからだ。

シャヘドから散布される子弾にはおそらく、着弾時に爆発するタイプと、遅延起爆するタイプが混在しているのだろう。なかには、純粋に地雷として機能するものもあるのかもしれない。これらの爆弾が実際にどのようなもので、どんな種類の信管が採用されているのかを突き止めることが、まずは最優先事項になりそうだ。それが分かれば、その処理や人々の安全確保に大いに役立つと考えられる。

いずれにせよ、はっきりしているのは、新兵器は軍事施設や民間インフラをターゲットにしているのではないという点だ。この兵器は、できるだけ多くの人を殺傷し、恐怖に陥れるように設計されている。ウクライナが長距離ドローンによる攻撃でロシアの兵器工場や石油貯蔵施設、軍用飛行場を目標に据えているのに対して、ロシアは民間人に対するテロ作戦に注力している。

(追記)キーウ市のビタリー・クリチコ市長は1日、自身のテレグラムチャンネルで、落とされたドローンの弾頭部が遅れて爆発し、ダルニツャ区の住民女性1名が負傷したことを明らかにしている

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翻訳・編集=江戸伸禎

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