不況で購入減が見込まれる食品
では、どのような食品が不況のあおりを食うだろうか。節約で真っ先に削られるものとしては、出来合いの食品や高価格の冷凍食品、手の込んだ調理済み食品などが挙げられる。クラフトビールやお高めのコーヒー飲料、必需品でない飲料の消費は消費者が無駄遣いをなくすにつれて減少する。
缶スープやシンプルなパスタ、冷凍ピザ、定番の焼き菓子など、不況時に重宝される食品の多くは今より素朴だった子ども時代の記憶を呼び起こす。世代を超えて人気の老舗ブランドの商品が、新しく登場した類似の商品よりも不況を乗り切ることが多いのはこのノスタルジーのためだ。
食品メーカーと小売企業が取れる戦略
先見の明のある食品企業と小売業者は、こうした消費パターンをいくつかの方法で活用できる。食品メーカーにとって、不況を前にしている時期は高価格帯の商品開発よりも、バリュー志向の商品を拡大したり大容量の商品を投入したりする理想的なタイミングだ。
専門誌「Appetite(アペタイト)』に掲載された、食品の消費パターンと経済成長の関係を調査した研究によると、低所得国では国内総生産(GDP)が伸びるとき、供給と実際の消費が大きくかけ離れる食品消費パターンに変わることが分かった。この洞察は経済の転換期において、メーカーが適切なマーケットにターゲットを絞るのに役立つ。流通業者および小売業者は、保存のきく基本的な食品の需要増に対応すべく在庫計画を調整する一方で、嗜好品・贅沢品といった位置付けの裁量的な食品部門を減らすべきだろう。
過去から学ぶべきこと
消費者がお得感と安心感を求める方向にシフトしている時、贅沢や高級を強調するマーケティング文句は「空気が読めていない」ものになるリスクがある。今日の経済環境には、以前の不況時に通じる厄介な類似点がいくつか見られる。
最近の市場調査では、プライベートブランドの食品の購入が前年比で 17%増加していることが示されている。また、パスタと米の消費が増加し、高価格の調理済み食品の売上が減少しており、こうした傾向は以前の不況時にも見られた。米商務省経済分析局が毎月発表する貿易統計によると、2月の輸出は1227億ドル(約17兆6650億円)と前月の1307億ドル(約18兆8160億円)から6.1%減少し、輸入は1億ドル(約143億円)にも満たなかった。輸出減や貿易赤字は歴史的に景気後退の前に見られる。
このような先が見通せない不安定な経済情勢のなか、食品消費の微妙な変化を注視して対応する食品会社や小売業者は、公式の景気後退宣言を待つ競合他社に先んじて戦略を調整する貴重なリードタイムを得られる。消費者が購入するものだけでなく、なぜこうしたパターンが生まれるのかを理解することで、消費習慣が変化しても顧客をつかみ続け、市場シェアを維持できる。
消費者の食品購入の動向は、実際に何を購入しているかを観察して把握しさえすれば、最も信頼できる経済予測ツールのひとつとなる。


