もしマントルプルームがなかったら、アフリカとアジアはさらに長い間隔絶されたままだった可能性があり、アフリカに進入したり、アフリカから進出したりした動物や人類の祖先は、大きく異なる進化の道筋をたどっていたかもしれない。
陸橋が完全に塞がる数百万年前には、人類の祖先となる霊長類がアジアからアフリカに到達していた。この霊長類は結局アジアでは絶滅したが、一族がアフリカで多様化した。その後、陸橋が完全に出現すると、霊長類がアジアと欧州に再びコロニーを形成した。
さらに、この隆起は海洋の循環と地球の気候にも重大な影響を及ぼした。テチス海と海流による北方へのエネルギーの再分配がなくなったため、インド洋の温暖化と東アフリカの乾燥化がより進行したのだ。この現象が最終的な引き金となって約1000万~700万年前にサハラが砂漠化し、初期のヒト科動物をアフリカの外に追いやったのだろうと、研究チームは考えている。また、海洋の温暖化によって蒸発とモンスーン活動が促進されたことで、東南アジアがより湿潤になり、新来者にとって理想的な生息地となった。
今回の論文「Collision, mantle convection and Tethyan closure in the Eastern Mediterranean」は専門誌Nature Reviews Earth & Environmentに掲載された。
追加資料とインタビューは米テキサス大学オースティン校から提供された。


