最長寿に名乗りを上げる樹木はほかにも
メトセラはこれまでずっと、高齢の樹木の基準として存在してきたが、競争相手がいないわけではない。南米チリのアレルセ・コステロ国立公園には、「Gran Abuelo(ひいおじいさん)」と呼ばれるパタゴニアヒバの巨木があり、世界最長寿の樹木候補として浮上している。
環境科学者のジョナサン・バリチヴィッチは調査の際、パタゴニアヒバの幹の直径が4mもあったため、中心部まで成長錐を挿入できなかった。しかし、採取した部分的な試料と統計モデリングをもとにして、樹齢を5484年と推定した。メトセラより600年以上も年上だ。
とはいえ、木の内部が腐食していて、完全なコア試料を採取することが不可能と思われるため、この主張は科学的に検証されないままとなっている。
それでも、バリチヴィッチの研究結果は世界的な注目を集めた。気候変動レジリエンスと森林保全についての緊急メッセージを伝えるものだからだ。
一方、メトセラにはかつて、同じブリッスルコーンパインのファミリーのなかで、年上のきょうだいがいた。ネバダ州ウィーラー・ピークの近くに、「プロメテウス」と呼ばれるブリッスルコーンパインがあったのだが、1964年に氷河史の調査に訪れた研究者によって伐採されてしまったのだ。その断面を分析して初めて、研究者たちは自らが犯した過ちに気づいた。
プロメテウスは、少なくとも樹齢4862年だった。未計数の年輪と、垂直方向への成長の見方次第では、樹齢が4900年を超えていた可能性もある。この出来事をきっかけに、ブリッスルコーンパイン個体群の保護が進み、そして、好奇心に伴う代償がいかに大きいかという教訓が残った。
メトセラは、現存が確認されている非クローン性の樹木のなかでは最長寿かもしれない。しかし、こうした物語が示すように、植物界における長寿は、見かけ以上にわかりにくいことが多い。



