シュルマンは、メトセラの樹齢を確定するために「成長錐(インクリメントボア)」を用いた。これは、つまるところ細長いドリルで、樹木の円柱状のコアに挿入して試料を抜き取るツールだ。これを使えば、生きている樹木を枯らすことなく、年輪を解析することができる。
シュルマンは、メトセラのコアにある同心円状の輪を分析して数え、樹齢が少なくとも4789年であることを突き止めた。それまで知られていた樹木の限界寿命を超えた、記録的な樹齢だった。
米森林局は何十年ものあいだ、破壊行為から守るためにメトセラの正確な位置を公表してこなかった。こうした秘密のベールは、2021年まで保たれていたが、この年、1958年発行の雑誌に掲載されていたメトセラの写真から、その正確な姿と場所が特定され、静かに世に知られることとなったのだ。

グレートベースン・ブリッスルコーンパインの生存戦略
米西部を走る山脈の高地は、荒涼としている。冬には、大地が氷で削り取られ、夏には乾燥して干からびる。そんな場所で生きるメトセラのようなグレートベースン・ブリッスルコーンパインは、厳しい環境を耐え忍ぶ術を身に着けてきた。これほど長く生き延びることができたのは、忍耐を重ねた末の戦略が結実した成果だ。
ほかの木々は、必死になって葉を生い茂らせるが、ブリッスルコーンパインは、成長を停滞させる。亜高山帯の高地は、栄養素も雨量も乏しい。そうした環境で生きるブリッスルコーンパインは、エネルギーを節約することで成長している。
長生きの秘訣は、針状の葉にある。
低地に生えているマツの針葉は、2年から4年ほどで落葉する。しかしブリッスルコーンパインの場合は、まとまって「束生」状になった葉が、最大で45年も落ちない。1981年に『Oecologia』で発表された研究によれば、針葉樹のなかでは最長だ。針葉が滅多に落ちないため、新しい葉を毎年茂らせるための代謝コストが劇的に減る。
ブリッスルコーンパインは、年輪の幅が狭い。密度が高く、木の構造が非対称だ。これらはみな、過酷な風が吹いても屈せず、腐食を阻止できる特徴といえる。
グレートベースン・ブリッスルコーンパインは、植物学的なパラドックスを体現している。過酷な環境でゆっくりと成長することで、ほかの木々より何千年も長生きしているのだ。速さに取りつかれた世界のなかで、ブリッスルコーンパインは、あえてじっとしている方が長寿を手に入れられると訴えている。


