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2025.05.06 08:00

「お送りいたします」は正しい敬語?ビジネスシーンでの正しい使い方と類義語・言い換え表現を例文付きで徹底解説

「お送りいたします」の意味とは?

「お送りいたします」の基本的なニュアンス

「お送りいたします」は、「送る」という動詞を丁寧に言い表したものですが、さらに謙譲の意味合いを付加した表現です。「お送りする」の「お」を尊敬・謙譲の接頭語としてつけて、それをさらに「いたします」という謙譲語と組み合わせています。結果的に、「私が相手に対して送る行為を、へりくだって伝える」というニュアンスが含まれた敬語となります。

ただし、「お送りいたします」という表現は、「お(送り)+いたします」という二重の敬意表現が重なっており、使い方によっては過剰敬語(いわゆる二重敬語)と見なされる場合もあります。しかし、ビジネスシーンにおいては「お送りします」よりも丁寧な言い回しとして広く浸透しており、多くの場合、「お送りいたします」でも問題ないとされる場面があります。

「お送りいたします」が使われる背景

ビジネスコミュニケーションでは、丁寧でかしこまった表現を用いることで、相手に対する敬意や配慮を示すことが求められます。「お送りいたします」はまさにそうしたシーンに向いたフレーズとして長く使われてきました。特に、顧客や取引先に書類や資料を送付する際に、「送る」の敬語版として活躍しています。

ただし、ビジネス敬語が細分化されるなかで、「お送りいたします」は過剰敬語に当たるのかどうか議論になることもあります。多くの社会人が日常的に使っているため、もはや慣例として受け入れられている印象が強いものの、場合によっては「お送りします」のほうがシンプルで自然な表現と指摘されることもあるでしょう。


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ビジネスシーンでの正しい使い方

文書やメールでの表現

取引先や顧客へ書類を送付するときにメールや文書で案内する際、以下のような書き方をすることがあります:

  • 「ご依頼いただきました資料を、後ほどお送りいたします。」
  • 「ご注文いただきありがとうございます。発送準備が整い次第、お送りいたしますので、少々お待ちください。」

これらの例では、「送る」という行為をへりくだって述べることで、相手に対してより丁寧な印象を与えられます。ただし、「お送りいたします」というフレーズを濫用すると、文章が冗長に感じられる可能性もあるため、要所要所で使い分ける意識が大切です。

電話対応や口頭での報告

電話や口頭で「送ります」という意思を伝える場合にも、「お送りいたします」はビジネス敬語としてよく使われます。例えば、急ぎの書類を送ってほしいと依頼された際に「ただいま準備しておりますので、整い次第お送りいたします」と返答すれば、相手に丁寧かつフォーマルな印象を与えられます。

ただし、相手との距離感や状況次第では、「お送りします」で十分な場合もあるため、常に「お送りいたします」を使わなければならないわけではありません。上司や取引先など、よりかしこまった関係にある相手や、公的な場面でのやり取りであれば「お送りいたします」が適切というわけです。

「お送りいたします」を使う上での注意点

過剰敬語に当たるかどうか

「お送りいたします」は、二重敬語のようにも見えるため、過剰敬語ではないかと指摘される場合があります。ただし、現代のビジネスシーンでは広く用いられている表現であり、必ずしも誤りとは言えないという意見が多数です。実際、多くの企業で、マニュアルや研修などで「お送りいたします」のフレーズが推奨されるケースもあります。

一方で、文法的に厳密な視点を持つ人や指導者の中には、「お送りいたします」は過剰敬語だから「お送りします」が正しいと強く主張する人もいるのが現状です。結論としては、相手や社内文化、用途に応じて、どちらの表現が適切かを選ぶことが大切です。

場面に応じた使い分けの意識

使い分けとしては、プライベートやカジュアルなビジネスの場面であれば「お送りします」で充分な丁寧さを伝えられます。一方、かなりフォーマルなシーン、例えば式典や上層部への正式な連絡などでは「お送りいたします」の方が印象が良い場合もあるでしょう。自身の会社のガイドラインや先輩・上司の使い方を参考にして、適切なフレーズを選ぶと良いです。

また、同じ文面の中で「お送りします」「送らせていただきます」「お送りいたします」など、複数の表現が混在すると、読み手が混乱する可能性があります。一貫した表現を使うことで、文章全体の流れをスムーズに保つように心がけましょう。

類義語・言い換え表現

「お送りいたします」と似た意味を持つフレーズ

「お送りいたします」の代わりに、同じように「送る」行為を丁寧に表現するフレーズとしては、次のようなものがあります。

  • 「お送りします」:ややカジュアルだが、ビジネス上でも比較的広く使われる表現
  • 「送付いたします」:文章やメールで用いられることが多い。少し事務的なニュアンス
  • 「ご送付申し上げます」:フォーマル度が高く、式典や書状などで使われやすい

どのフレーズを使うかは、主に相手との距離感や文章のフォーマル度合いで判断すると良いでしょう。ちなみに、「送らせていただきます」という表現もありますが、これを使う際は「送らせていただく」状況かどうか(相手の承諾を得て行う行為か)がポイントになります。

ビジネス文書での書き換え例

具体的に「お送りいたします」を別の言葉に置き換える場合、例えば以下のような例が考えられます。

  • 「書類をお送りします」:シンプルでオールマイティに使える
  • 「資料を送付いたします」:やや事務的な印象で、書類等の送信に特化
  • 「ご要望の品を手配し、来週中に発送申し上げます」:相手の要望を踏まえ、発送予定を伝える際に使用

文面全体の文脈や使用する敬語のレベルに合わせて調整すると、より自然に読み手に伝わります。結局、相手や社内のルール・慣習をよく理解したうえで選択するのがベストです。

「お送りいたします」を使った例文

ビジネス文書・メールでの使用例

  • 「ご依頼いただいた資料を準備いたしましたので、後ほどお送りいたします。ご確認をお願いいたします。」
  • 「ご注文の品につきましては、本日中に発送の手配を完了し、明日お送りいたしますので、到着まで今しばらくお待ちください。」

どちらもビジネス上のやりとりでごく一般的に見られる表現です。後半に相手に対する配慮やお願いを付け加えることで、丁寧さを維持しつつもスムーズに相手が理解しやすい形になります。

会話での使用例

  • 「ありがとうございます。では、ご指定の住所に商品をお送りいたしますね。」
  • 「資料が揃い次第、お送りいたしますので、少々お待ちください。」

口頭でも「お送りいたします」を使うと、相手に対して丁重な印象を与えられます。ビジネス電話や対面でのやり取りでは、適度にこうした敬語表現を取り入れることで、相手との関係を良好に保つ手助けになります。


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まとめ

「お送りいたします」は、相手へ何かを送る際の行為を丁寧に表現するフレーズで、ビジネスシーンにおいても頻繁に使われています。厳密には、二重敬語とされる可能性がある表現ですが、現代では多くの場面で許容され、むしろ一般的なビジネス敬語として定着しています。

とはいえ、やや堅苦しく聞こえる場合もあるため、適切な場面や相手との関係を見極めることが大切です。また、文章や会話で繰り返し用いると冗長になる恐れがあるので、類義語や言い換え表現(「お送りします」「送付いたします」「送らせていただきます」など)を上手に活用しましょう。最終的には、相手が何を求めているか、どのような敬語を好むかを理解し、その上で「お送りいたします」の使い方を調整すると、より効果的なビジネスコミュニケーションが実現できます。

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