テクノロジー

2025.05.03 14:15

フェイク対策の切り札? TOPPANデジタルの実証実験から読むデジタルコンテンツ保護の現在地

mayam_studio / Shutterstock.com

平将明事務所の公式サイトを使った実証実験では、顔写真などの人物情報が含まれる画像データに、一見しただけでは知覚できない電子透かし(デジタル情報)を埋め込んだ。さらに、SNSやウェブサイトなどに転用されても画像の電子透かしや来歴情報が適切に維持されるかどうかなどを検証した。

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実験の結果、来歴情報と電子透かしはホームページ上にアップロードした後も保持されることが確認された。画像の改ざんなどをすると電子透かしが消えるため、本物の画像と、第三者の手が加わった画像とを判別することが可能なことを意味する。

しかし、新たな課題も見つかった。ほぼすべてのSNS上で、画像が圧縮されることにより電子透かしの劣化や来歴情報の欠落が起きたのだ。「SNSの事業者さんを交えて、社会のためにどのような対策を取ることができるかを一緒に考える必要がある」と、TOPPANデジタルのフェローで同プロジェクトを牽引する藤沢修は指摘する。

動画に電子透かしを入れることも課題のひとつだ。ディープフェイク動画の数は急速に増加する一方、一般消費者がディープフェイクかどうかを正確に識別することは困難だとされる。「SNS向け動画への電子透かしの埋め込み・検出は技術的にかなり難しいが、どうすれば対応できるかを今まさに考えているところだ」(藤沢)。

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TOPPANデジタルがまず目指すのは、ディープフェイクなどの被害を受けやすい政治家や著名人のコンテンツ保護サービスの事業化だ。将来的には、一般消費者も対象に正しい情報が流通する社会の実現を見据える。テクノロジーを持つ民間企業と官学が連携しながら、生成AIなどの最新技術がもたらした社会課題に新たな技術で対抗することが期待される。

アバターを通じて時間や身体の制約なしに活躍する未来へ

VR/ARデバイスの普及や高速大容量通信技術の拡大に伴い、今まさに期待されるのがメタバースの普及だ。Statista Market Insightsによると、メタバースの市場規模は30年までに5,078億米ドルに達すると予測されている。

安全なメタバース社会を実現するためには、アバターの不正利用やなりすましを防ぐと同時に、アバターの資産価値を保護するインフラが不可欠だ。そんななか、TOPPANデジタルが目指すのは2つ。リアルとバーチャルのサービスの利用に伴う個人データを安心・安全・円滑に持ち運んだり証明したりできる基盤を整えることと、アバターのデータをはじめとしたコンテンツの保護だ。

「近い将来、分散IDやNFT、SBT、VCs(内容の検証がオンラインで可能な自己主権型のデジタル証明書)などがアバターに紐づいて管理される時代が来るだろう。アバターにウォレットを紐づけ、ウォレットにNFTやSBTなどをしまうための管理基盤を構築し、ビジネスとして展開していく」(藤沢)

国民の5人に1人が75歳以上という超高齢化社会を迎えた日本。人々がアバターを介してリアルとバーチャルの世界をフレキシブルに行き来できれば、時間や場所、身体的な制約を超えて、より多くの人たちが活躍できるようになるかもしれない。

超高齢化とAIの進化が同時並行で進むなか、アバテクトはメタバースの守護神になれるか。その可能性と実力が試されている。

文=瀬戸久美子

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