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2025.05.02 20:00

第1回「ピーステック・アワード」開催へ!テクノロジーで平和な未来を創るスタートアップを発掘・支援

テクノロジーを戦略的に活用し、平和創造や平和構築といったさまざまな平和課題に関する活動を支える「ピーステック」。それに従事するスタートアップなどの事業者を発掘し、成果を称える「ピーステック・アワード」が5月19日(月)に初開催される。国際平和を脅かすさまざまなリスクが横たわる昨今、そのソリューションとなる新たな産業が日本で興る契機となるか、注目のアワードだ。


災害分野など日本ならではのピーステックが存在

ロシアによるウクライナ侵攻、イスラエルによるガザ侵攻、ミャンマーでの内戦……世界では紛争が絶えないが、国際平和拠点ひろしま+東京コミュニティ代表の佐々木喬史は、ただ平和を主張するだけでは、日本はそのリスクから逃れられないと言う。

「戦後80年を迎えるVUCAの時代において、なぜ今ビジネスを通じた平和貢献が必要なのか。ただ平和を語るだけでは、日本は世界で直面するさまざまなリスクに対処できません。『平和あっての経済、経済あっての平和』であり、私たちの暮らしを守るための金融・経済活動は、日常の平和を脅かすような貧困や格差のない共存共栄の社会構造の上に成り立つことを考える必要があります」

平和とは「戦争がないこと」だけを意味するのではなく、「共存共栄社会」を目指すこと。ではそれを実現するためには、どうすればいいのだろうか。まず、平和を2種類に分けて考える必要があると佐々木は言う。

「ひとつは『消極的平和』で、戦争や暴力がない状態。もうひとつは『積極的平和』で、貧困・抑圧・差別などの構造的暴力がない状態です。積極的平和は、SDGsの考え方ととてもよく似ており、その実現のためには私たち一人ひとりの行動やビジネスの力で解決すべき課題を提示し、サステイナブルな社会を築いていくことが必要です。そして究極的には、積極的平和は消極的平和の礎になっていきます」

SDGsやESGなどの横断的な社会課題解決やサステナビリティを加速させ、目に見えないシステムから変えていかなければならないと佐々木は言う。

その実現のために不可欠なのが、テクノロジーによるイノベーションだ。近年、さまざまな領域において、テクノロジーを用いた社会課題解決型ビジネスである「xTech(クロステック)」が広がっているが、そのなかでも平和維持、平和創造、平和構築といった平和課題に関する活動を支えるのが「PeaceTech(ピーステック)」と言える。紛争を予防し、平和を推進するためにテクノロジーを戦略的に利用する取り組みだ。

それは2008年、米国平和研究所(USIP)がイノベーションセンターにピーステック・チームを設立したことから始まった。以来、アメリカを中心に盛り上がりを見せ、同国の投資家シェーン・レイ・マーティンによると、23年のアメリカ政府によるピーステック関連の支出額は35億ドル(約5005億円)に達するという。33までに、市場規模は1,000億ドル(約14兆3,000億円)まで拡大すると試算されている。

こうした動向は、日本ではまだこれからといったところだが、大きなポテンシャルを秘めていると佐々木は強調する。

「ピーステックは、紛争地域下で語られることが多いのですが、社会課題先進国であり、優れた文化や技術をもつ、日本ならではのピーステックが存在します。例えば災害分野のテクノロジーは、紛争地域を含むさまざまな地域のグローバル課題にも活用できるものが数多くあるのです」

ロールモデル化を支援し、エコシステムを形成

「第1回ピーステック・アワード」は、ピーステック産業を日本に確立し、事業を通じた平和貢献を促進することを目指して開催される。デジタル技術などのテクノロジーを活用し、平和を阻害する根本的・構造的な社会課題の解決に挑むスタートアップなどの事業者を発掘し、その成果を称えることが狙いだ。

その事務局を務めるのが、国際平和拠点ひろしま+東京コミュニティだ。同コミュニティの成り立ちは、16年に遡る。広島県で開催された「国際平和のための世界経済人会議」で、世界的なマーケティングの権威であるフィリップ・コトラー教授(米国ケロッグ大学院)が「ピース・マーケティング」を提唱。その言葉からインスピレーションを得て、ビジネスを通じた平和な社会の実現に向けて、平和の社会的・事業的価値を考える場づくりに取り組んでいるのが同コミュニティなのだ。

佐々木が改めてピーステック・アワードの意義を説明する。

「日本でのピーステックは、JICAや国連といった国際開発機関がその中心的な役割を担っていますが、日本国内にも積極的平和の推進に寄与している多くの組織が存在していることは、これまであまり注目されてきませんでした。当アワードは、これら見過ごされがちな国内組織にスポットライトを当て、『日本のピーステック』という新たな概念を提唱するとともに、それらの活動を支援して発展させることを目的としています」

同アワードでは「危機管理」と「積極的平和」との2部門が設けられている。前者は災害、宇宙関連、サイバー関連、後者は資源供給、格差、多様性といったカテゴリーに分類される。

審査員は、広島県立叡啓大学ソーシャルシステムデザイン学部教授の早田吉伸やSDGインパクトジャパン代表取締役Co-CEOの小木曽麻里らが務め、「パーパスと事業目的」「インパクト評価」「事業性評価」の3項目から審査される。事務局による一次審査と審査委員による評価・投票結果を経て、すでにファイナリスト10社が選出された。そして5月19日(月)、いよいよ第1回の受賞企業が決定する。

同アワードは、受賞企業を決定して終わりではない。受賞企業のロールモデル化を支援する、長期的な取り組みだ。ピーステックの概念への注目を高めるために、受賞企業に対してインパクト可視化の支援や官民共創連携支援などを行う。また、社会的価値の可視化やPR、インパクトレポートの作成支援などの非財務支援も行う。さらには、ピーステックの意義や価値を評価する自治体や国際組織などとのマッチング支援やネットワーキングの機会も提供する。

また、ピーステック産業の事業家・投資家エコシステムの形成を目的にピーステック・コンソーシアムの立ち上げも計画している。ピーステックは、幅広い領域にインパクトを与える可能性を期待されているのだ。

「近年、インパクトスタートアップやインパクト投資が注目されていますが、トランプ2.0により世界の不確実性が高まるなか、ピーステックは、今後の日本社会がリアルに直面する課題を先取りするテーマでもあります。ピーステックはひとつのジャンルではなく、さまざまな社会課題分野を横断するものであり、複数のクロステックのポートフォリオによって構成されます。新たな産業分野としての可能性を秘めており、ビジネスとして持続可能な形で平和に取り組むことができる、新しいチャレンジです」

5月19日は、ピーステックが日本で広く知られる日になるかもしれない。ピーステック・アワードに注目だ。

【 第1回ピーステック・アワード 開催概要 】
・日時: 2025年5月19日(月) 16:00~19:30 (交流会: 19:30~20:30)
・会場: SHIBUYA QWS スクランブルホール 
・内容:
 ‐ピーステックに取り組むスタートアップ企業等を発掘・表彰
 ‐約10社のファイナリストによるピッチコンテスト
 ‐審査員やパネリストによるセッション
・主催: ピーステック・アワード実行委員会

イベントへの参加応募はこちらから
https://peace-tech-award.peatix.com/

特設サイトはこちらから
https://sdgsforpeace.tokyo/peacetech/


ささき・きょうじ◎国際平和拠点ひろしま+東京コミュニティ代表。金融機関在職中にグロービスMBAを修了後、グラミン日本の事業立ち上げに参画、事務局長を経験。2019年から国内財団でインパクト投資の調査研究と普及啓発を支援するとともに、国際平和拠点ひろしま+東京コミュニティを設立し現職。

Promoted by 世界平和経済人会議ひろしま東京セッション運営委員会│text by Fumihiko Ohashi│edited by Akio Takashiro