経営・戦略

2025.05.07 16:00

米防衛テックの新興「カオス・インダストリーズ」が400億円調達へ

Shutterstock.com

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米ロサンゼルスを拠点とする防衛テクノロジーのスタートアップChaos Industries(カオス・インダストリーズ)が、ベンチャーキャピタル(VC)大手のAccel(アクセル)の主導で2億7500万ドル(約398億円。1ドル=145円で換算)を調達しようとしていることが明るみに出た。

通信およびレーダー製品を手がけるカオスの評価額は、今回のシリーズCラウンドで20億ドル(約2900億円)とされたと、事情に詳しい関係筋はフォーブスに語った。アクセルは、もう1社の有力VCのニューエンタープライズアソシエイツ(NEA)と共同でこのラウンドを主導する。

「米国の安全保障の未来は、先進的な防衛技術へのアクセスと、その開発に向けての投資意欲にかかっている」と、カオスCEOのジョン・テネットはフォーブスに語り、「今回の資金調達は、我々のこの分野へのコミットメントを裏付けるものだ」と述べた。

シリコンバレーでは、今年の年初から防衛テックの新興企業の大型調達案件が相次いでおり、2月に自動航行する軍用艦を開発するSaronic(サロニック)が6億ドル(870億円)を調達したのに続き、3月には電子戦関連のスタートアップEpirus(エピラス)が2億5000万ドル(約362億円)を調達していた。

フォーブスはまた、2月にこの分野の大手のAnduril(アンドゥリル)が280億ドル(約4兆円)の評価額で新たな資金調達の準備を進めていると報じていた。Crunchbaseのデータによると、防衛テック企業は昨年、過去最高の30億ドル(約4350億円)を調達していた。

2022年にテネットCEOに加えてボー・マー、ギャビン・フッド、ブレット・カミングスの4人によって設立されたカオスは、軍事向けの通信機器やレーダー、センサー技術のスイートを開発している。同社は、その技術の詳細をほほとんど明かしていないが、同社の商用レーダーシステム「Vanquish(ヴァンキッシュ)」は、ドローンやミサイル、航空機の早期警戒および追跡に利用可能だとされており、トランプ政権が構想するミサイル防衛システムの「ゴールデン・ドーム」に貢献できる可能性がある。

以前にエピラスを率いていたマーとテネットが経営するカオスは、まだ主要な契約を発表していないにもかかわらず、わずか6カ月前にもアクセル主導で1億4500万ドル(約210億円)を調達していた。このラウンドには、8VCやOvermatch Venturesらが参加していた。

Helsing AI(ヘルシングAI)やScale AI(スケールAI)などの複数の防衛テックの企業への出資で知られるアクセルは最近、8VCやアンドリーセン・ホロウィッツ、ファウンダーズ・ファンドなどの投資家と並んで、この分野への投資を本格化させている。同社はまた、4月29日に宇宙セキュリティ企業True Anomaly(トゥルー・アノマリー)の2億6000万ドル(約377億円)の資金調達ラウンドを主導したことを発表した。

「今日の複雑な国家安全保障の課題に対処するには、新世代の防衛テクノロジーが必要だ」と、アクセルのパートナーであるスティーブ・ロフリンは昨年のカオスへの出資の際に語っていた。

forbes.com 原文

編集=上田裕資

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