2. 自分の行動に責任を負わなくなる
「主人公症候群」は、人間関係に深刻なダメージを与えることがある。この考えにとらわれると、次のような行動をとりやすい。
・他人を傷つける行為でも「自分の成長に必要だった」と正当化する
・自己の筋書きに合わない正当な批判を受け止められない
・他者の経験を真に認めたり価値付けたりするのが難しくなる
対処法として有効なのが、「謙虚さ」を受け入れることだ。謙虚さとは、自分の長所と短所の両方を正しく把握し、自己像を客観的に見ることである。『Journal of Psychology and Theology』に掲載された研究では、謙虚な人ほど以下の傾向があると報告されている。
・過ちに対して責任を受け入れやすい
・フィードバックを受け取っても防衛的になりにくい
・自分の失敗を許容できる
・他者のニーズや視点を重んじる
謙虚な人は「自分が間違っている」と認めても、アイデンティティのすべてが脅かされるとは感じにくい。これが、より健全な関係を築く土台になる。
謙虚さを身に付けるには、まず視点取得を練習することが有効である。視点取得とは、他者の視点や立場で物事を考え、その視点からどのように世界が見えるかを推測する能力だ。「相手はこの状況をどのように感じているのだろうか」とこまめに問いかけてみよう。また、自分の意図ではなく行動が与えた影響を重視し、間違いに気付いたらら誠実に謝罪する。さらに、言葉だけでなく行動を変えて示すことが必要だ。
主人公的な考え方から謙虚さへ切り替えるのは、自分を卑下するためではない。本物のつながりが芽生える余地を作ることである。自分が世界の中心ではなく、互いに結び付く全体の一部であると認識したとき、人間関係は癒やしとなり、より充実していく。
主役の「見せ場」ばかり追い求めると、人生が本物というよりパフォーマンスのように感じられることがある。完璧な場面を演出しようとするあまり、混沌とした予期せぬやりとりのなかにある本来の「魔法」を見逃してしまうかもしれない。


