より多くのことを成し遂げようと考えるとき、最初に思いつくのはToDoリストにタスクを追加することだ。リーダーとして成功する鍵は、タスクや目標を増やして頑張ることだと信じられてきた。だが、生産性を高める秘訣は1日を多忙にすることではなく雑念の排除にある。
そこでお勧めしたいのが「やらない」ことのリスト化だ。これは単なる生産性を高めるための工夫ではなく、自分をより高いレベルに持っていく取り組みだ。自己認識を研ぎ澄まし、どの習慣が自分の成長につながり、そしてどの習慣が実は成長を阻害しているのかを知る。もはや役に立たないものを取り除くと、自由に使えるエネルギーや集中力、勢いが生まれる。成長とは一貫して向上することを意味する。そのためには足を引っ張るものを意図的に断ち切ることから始めよう。
「やらないことリスト」が真のパワーツールである理由
従来のToDoリストは行動に関するもの、つまり完了させたいタスクを並べたものだ。だが、ToDoリストはやがて実際には目標に近づくことにつながらない義務でいっぱいになる。気づかないうちに古くさい日課や優先順位の低いプロジェクト、仕事に見せかけた気晴らしに貴重な時間を費やしている。
米誌ファスト・カンパニーはプロジェクト追跡のソフトウェアを提供するiDoneThis(アイダンディス)の調査結果を取り上げており、それによるとプロフェッショナルの3分の2近くがToDoリストを作成しているが、項目の41%は実際には実行されていないという。
リーダーにとって、ToDoリストはもはや単なるリストではない。常に増え続ける手に追えないものであり、新たな課題や早く実行に移したい新しいアイデア、緊急のメール、予期せぬ厄介ごとの処理などがリストに日々加わる。タスクを完了するたびに達成感を感じるどころか、ほとんどの人は遅れていると感じ、タスクを1つ完了するとタスクがもう2つ生み出されるようなループに陥っている。
このプレッシャーは想像のものではなく、「ツァイガルニク効果」と呼ばれる心理現象だ。研究によると、未完了の仕事は完了した仕事よりもずっと頭の中に残り、雑念を生み、集中力を低下させる。やり残した仕事が多ければ多いほど、戦略的に考えたり優先順位を効果的につけることが難しくなる。



