エアコンの温度は自分で変えられるかを尋ねると、誰でも自由に変えられるという回答が6割近かった。そのため約25パーセントの人は自分で温度を調整しているが、残る約35パーセントは調整できるにもかかわらず自主防衛または我慢をしているということになる。なぜかと言えば、ブランケットを使う人は「ほかの人は暑いかもしれないから」、「自分ひとりで使っているわけではないので、対策してしのげるならそうする」、「人によって耐寒温度が違うので、羽織って調整する」と他者を思いやってのことだった。我慢するという人も、「自分のわがままで変えるのは申し訳ない」と周囲を気遣っている。少数派の暑すぎるという人たちも、卓上扇風機などで他人に影響が及ばないよう個人的な対策をしていたりする。

こうした殊勝な約6割の人たちの犠牲の上に約4割の人たちが快適に過ごしているというのは、どうも釈然としない。全員が快適というのはあり得ないので、快適と感じる人を最大化する工夫が必要だ。寒い人が多いのでエアコンの温度を少し上げることが考えられるが、するとおそらく現在快適な人たちの中から「暑すぎる」人が出てきて全体のバランスは変化する。日によっても個々の体調によっても変わるものだから、最適な温度は定まらない。そんな難しい計算をするより、みんなに「思いやり」を持ってもらうよう訴えるのが得策だ。
これは会社全体の生産性にかかわる問題でもあり、本格的な夏を迎える前に、全社的な取り組みを考えるべきだろう。エアコンフロンティアは、細かい温度調節が可能な高性能エアコンへの切り替えを提案している。社員の健康を考えれば、それもひとつの手段となる。


