アジア

2025.05.02 08:00

「万税じいさん」トランプが中国を再び偉大にする

Below the Sky / Shutterstock.com

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中国のSNSで「#万税じいさん」のようなハッシュタグが流行するなか、ドナルド・トランプ米大統領による貿易戦争の大失敗ぶりについて見て見ぬふりをするのは難しい。

アジア最大の経済大国の何億人というネット民から「#トランプがビビった」「#王は何でも知っている」「#国家建設者トランプ」といったハッシュタグを付けて囃されるというのは、トランプが中国に対する最新の貿易戦争を始めた時に予想していたものではなかったはずだ。最後の「国家建設者トランプ」の「国家」は米国ではなく中国のことなのだが、トランプにとってはことのほか心外だろう。

トランプ2.0が始まってから100日間の究極の皮肉は次のような状況かもしれない。トランプの取り巻きはどうやら、中国の習近平国家主席が慌ててホワイトハウスに電話をかけてきて、ぜひともディール(取引)をしたいと懇願してくるものだと踏んでいた。ところが、習のチームが実際に電話をかけた相手は、日本や韓国、東南アジア、欧州の首脳たちだった。そして彼らにおそらくこう伝えた。トランプの癇癪にうんざりしているのなら、中国はビジネスをする用意がありますよ、と。

習は電話のそばで待ったりなどしない。それどころか、すでに中国と日本、韓国の3国間自由貿易圏の土台づくりをやっている。この構想が実現すれば、トランプにとって非常にまずいものになるのはほぼ間違いない。最も興味深い動きは、ほんの数カ月前まで、習と中身のある関係を結ぶことにあまり関心を示していなかったアジアにおいて、習がトランプの手助けで「イメチェン」を進めていることだ。

トランプの貿易戦争を受けて、歴史的な対立を抱える日本と韓国が話し合い、中国が仲介役のような役割を果たしているという状況は、トランプが中国との経済競争で次々に決めているオウンゴールの一例である。

問題は、習がトランプのおかげで増すことになったソフトパワーをどう活用するかだ。手始めに習は、トランプのチームから2国間貿易協議を求める電話がかかってきた時に、なるべく長くベルを鳴らしたままにしておくだろう。実のところ、もしMBA(経営学修士)課程の担当者が「貿易戦争でやってはいけないこと」をテーマにした講座のヒントを求めているなら、トランプはリアルタイムでその模範授業をしてくれているようなものだ。

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翻訳・編集=江戸伸禎

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