アジア

2025.05.02 08:00

「万税じいさん」トランプが中国を再び偉大にする

Below the Sky / Shutterstock.com

トランプによるめちゃくちゃな関税と政策がどれほど裏目に出ているか、実例を数え上げてみてもいい。株式市場の時価総額を何兆ドルも消失させる、ドルを急落させる、「債券自警団」にまた手柄を立てさせる、大切な同盟関係を日ごとにずたずたにしていく、インフレ予想を強める、米連邦準備制度理事会(FRB)の立場への理解を生む、金(ゴールド)を再び魅力的にする──。

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なかでもトランプにとって最悪なのは、中国国民14億人から嘲笑されるようになったことだろう。中国の大衆が毛沢東主席をもじって「#トランプ主席」と揶揄したり、J・D・バンス米副大統領を「#アイライナー男」と小馬鹿にしたりする時、トランプの政策には明らかに問題がある。そして、強権志向の人物にとって我慢ならないものがあるとすれば、それは自分がジョークのネタにされることだ。

もっともトランプが、世界で最もダイナミックで人口の多い経済圏であるアジアでの米国の地位を台無しにしていることは、笑いごとでは済まされない。とりわけ、ドルの急落が、貿易に依存する域内の経済国を危険にさらしていることは看過できる事態ではない。

アジアにとって、ドルの価値の変動はけっして他人ごとではない。この地域には、米国にとって最も重要な資金調達先である国が2つある。米国債を1兆1000億ドル(約158兆円)近く保有する日本と、同7600億ドル(約109兆円)ほどを保有する中国だ。

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アジアの中央銀行や財務当局は、合計すると米国債に対しておよそ3兆ドル(約430兆円)にのぼるエクスポージャーがある。トランプの政策が債券市場を脅かしている、いまこの時期にだ。

トランプがさまざまなやり方で行っているドル破壊は、習の時代を再び偉大にしているとも言える。習は2012年に権力を握って以来、貿易や金融で人民元の役割を高めることを最優先課題のひとつに据えてきた。この取り組みは前進しているものの、道のりは長く、歩みは遅かった──トランプがドルへの信頼を攻撃するようになるまでは。

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翻訳・編集=江戸伸禎

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