トランプ米大統領は米国時間4月30日、今年第1四半期(1-3月)の米国の国内総生産(GDP)がマイナスとなったことの責任がバイデン前大統領にあると主張した。トランプは、2024年までさかのぼる株式市場の上昇が自分の手柄だと主張する一方で、直近の経済の低迷の責任を前任者に押し付けている。
トランプは30日にテレビ中継された閣議で、第1四半期におけるGDPの0.3%の減少は「バイデンのせいだ」と述べて、この数字が1月に発足した自身の政権によるものではないと主張している。彼はまた「次の四半期の数字も、ある意味でバイデンのものだと言える」と付け加えた。
トランプはさらに30日朝に行なったトゥルース・ソーシャルの投稿で、「これはバイデンの株式市場だ」と述べて、現状の株価の低迷が前大統領が「私たちに悪い数字を残したためだ」と主張した。彼はまた、自身による関税政策のプラスの影響が間もなく現れ始め、「記録的な数の企業が米国に移転する」と語っている。
しかし、このような発言は、昨年1月に彼がバイデン政権下での株価上昇は自分の手柄だと「これはトランプの株式市場だ」と発言していたことと矛盾している。当時、トランプは株式市場が好調なのは投資家が自身の大統領選での勝利を見込んでいるからだと主張していた。
トランプはまた、自身の大統領就任前の株価上昇についても「言わせてもらうが、これはトランプ効果だ」と集会で語っていた。
米国のGDPは第1四半期に0.3%のマイナスとなったが、これは2022年の第1四半期以来で最も弱い経済パフォーマンスとなった。過去10年間で米国のGDP成長がマイナスとなったのは、今回以外では3回だけであり、そのうち2回は2020年のパンデミックのピーク時に起きていた。
ここ数カ月間、トランプ政権が新たな政策を進める中で経済は失速しているが、トランプは自身の経済政策の成果が現れるまでには「まだ時間がかかる」と主張し続けている。
彼は先の演説で自身の関税政策について、「多少の混乱はあるだろうが、それで構わない。それほどのことではない」と語った。トランプは、3月に株式市場が引き続き動揺する中で、市場の低迷が「過去4年間の非常に悪い時期のせいだ」としていた。
4月までの時点で、米国が景気後退に陥る可能性についての専門家の見方は分かれていたが、アポロ・グローバル・マネジメントのトーステン・スロックは、米国が「自主的貿易リセット型リセッション」に陥る確率は90%だと述べていた。