ディジョン市のナタリー・コエンダース市長は、熊本との連携でも「食文化、農産物加工、デジタルなどの面でメリットが享受できる」と話す。また「フランスのシェフは日本料理の繊細さ、食材の豊かさなどからインスピレーションを受けている」とも語っている。
国際交流促進覚書を締結した2023年には、ディジョン市が同地で日本の文化を紹介する「ジャパンウィーク」を開催した。熊本県側はブースを出展して、盆栽や工芸品などを展示。球磨焼酎も振る舞った。さらに有明海の海苔や熊本産の醤油も紹介。来場者は熊本の伝統的な食を堪能した。会場では、改修された日本庭園の落成式も行われた。
会場に足を運んだブロガーも「サツマイモからつくられる焼酎はあまり好きでないが、球磨焼酎はコメを原材料にしているので軽く、繊細。アルコールが強すぎるという感覚は少ない」というコメントを記事にしている。
ブルゴーニュ大学との連携も
今年10月には「ディジョン・ブルゴーニュ・ウィーク」と呼ばれる食のイベントが、熊本で開催されることも明らかになった。熊本の崇城大学はディジョンのブルゴーニュ大学と2005年に協定を締結。発酵分野の共同研究に取り組む。
ブルゴーニュ大学側によれば、連携をめぐる話し合いは、他の科学分野や芸術学校設立などにも及んでいるという。両地域の交流は食を超えた分野にも広がろうとしている。
観光面でも連携強化をもくろむ。熊本は人気漫画家である尾田栄一郎氏の出身地。2016年に発生した熊本地震の復興プロジェクトの一環として、同氏の描く「ONE PIECE (ワンピース)」のルフィ像や麦わらの一味の仲間の像が県内の9市町村に設置されている。
日本に次ぐ「マンガ・アニメ大国」のフランスで、「ONE PIECE」の知名度は抜群。「くまモン」もディジョン訪問で歓迎を受けた。キャラクターを交流促進の起爆剤にしたい考えだ。
とはいえ、熊本県の関係者は「欧州のインバウンド客を広島以西まで呼び込むのは簡単でない」とも語る。前出のフランスメディアのジャーナリストは「欧州の旅行客はクルマを利用して各地を周遊するケースが多い。こうした状況を理解し、周辺の他県と手を携えて招致を図るべき」などと指摘している。
連載 : 足で稼ぐ大学教員が読む経済
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