人間の側にいるのは誰?
オールブライトによると、「AIとの関係は、たとえ模倣であっても、人間のつながりへの欲求をある程度満たす」という。また「生身の人間関係、現実の人間関係は、厄介で摩擦を伴うものだが、AIとの会話は便利で面倒さがない。そのため、人間はお互いを遠ざけ孤立するようになる」と同氏は指摘する。
Joi AI認定セラピストのブロンスタインも、この見方にはある程度は同意している。ただ、AIのパートナーは感情的な欠乏感を埋め、いつでも話を聞いてくれる思いやりのある仲間、または「デジタルの親友」になりえるという。ブロンスタインは、「時には、たとえ相手がAIであっても、誰かが側にいるというのは素敵なことだ。私たちが日々の仕事を簡単にするためにAIを使っているように、人々は、感情面の支えとしてAIがどう役立つかにも気づき始めている」と明かした。
AIが抱えるリスク、グーグルの検索トレンドが示す変化
AIとの関係には、深刻なリスクが存在するのも事実だ。2024年、14歳の少年がAIチャットボットに恋をした後に自殺するという事件が起きた。また2023年には、ベルギーの男性がAIとの会話の末に自殺したと報じられた。またIBMは、不正確な情報や誤情報の提供、ユーザーの意志決定・判断能力などへの影響を指摘している。
ただそれでも、生身の人間とのつながりを求めつつも、そんな関係を得られなかった人たちを責めるのは難しい。そのような人々が実際に増加しているきざしは、ここ最近のグーグルの検索トレンドでも示されている。Joi AIがまとめたデータによると、「AIに対する感情」「AIに恋をした」といったフレーズの検索回数がそれぞれ120%と132%と急増しているという。