経営・戦略

2025.04.30 15:30

三菱UFJが出資するフィリピンのモバイル決済大手、IPO延期の可能性

Shutterstock.com

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フィリピンで最も人気の電子ウォレット「GCash」の運営元で、アヤラ財閥の支援を受けるMynt(ミント)は、昨年末に、マニラ市場での新規株式公開(IPO)に向けた書類を提出したと報じられたが、同社は、米中間の対立の高まりの中で、市場の混乱が続く場合には、IPOを延期する可能性があると表明した。

GCashの運営元であるミントの36%は、シンガポール・テレコムとアヤラ・コーポレーションの合弁会社グローブ・テレコムが所有している。ミントの他の出資元には、中国のアント・グループや日本の三菱UFJフィナンシャル・グループが挙げられる。

グローブ・テレコムの新CEOであるカール・クルスは、同社とミントが市場環境が改善すればただちにGCashのIPOを実施する計画だと述べている。一部のアナリストが今年後半に見込むミントのIPOは、10億ドル(約1430億円)から15億ドル(約2140億円)の調達が見込まれており、2021年に10億ドルを調達したモンデ・ニッシン以降、フィリピンで最大規模のIPOになる見通しだ。

昨年8月にアヤラ・コーポレーション傘下のACベンチャーズと三菱UFJ銀行から8億ドル(約1140億円)の出資を受けたミントの評価額は50億ドル(約7130億円)に達しており、フィリピンで最も価値の高いユニコーン企業となっている。

グローブ・テレコムによるとGCashは、フィリピン人の10人中8人が利用しており、600万を超える加盟店が決済や融資、保険、投資などのサービスを展開している。

1834年に蒸留所として創業されたアヤラ・コーポレーションは、フィリピン最古の財閥で、現在ではマニラ証券取引所の上場企業として、銀行やエネルギー、公共事業、不動産など幅広い分野に進出している。フォーブスは、アヤラ家の保有資産を26億ドル(約3710億円)と試算している。

forbes.com 原文

編集=上田裕資

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