ヘルスケア

2025.04.30 10:30

パーキンソン病は「治療できない」のは大きな誤解、原因や治療法を解説

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パーキンソン病の原因は?

パーキンソン病の正確な原因についてはまだ解明されていないが、サファルプール博士は複数の因子によるものだと考えている。1つの要因は老化だ。年を取るにつれて、体内では細胞が変化していくからだ。だが、パーキンソン病は高齢者に限らず、多くの若者も診断されていることに留意しなければならない。

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遺伝的な要素も関係している可能性は高いが、最近ではかつて考えられていたほどではないとの見方が強まっている。先述のオクン所長によると、遺伝的要因によるパーキンソン病の割合は5分の1未満だとみられている。性別も重要で、過去の研究からは、男性は女性よりパーキンソン病を発症する確率が1.5倍程度高いことが明らかになっている。

サファルプール博士は、有毒化学物質への暴露などの環境要因も一因となっている可能性が高いと警告する。オクン所長も「パーキンソン病の多くは、環境中の(有毒化学物質への)暴露によって引き起こされているという疑念が近年高まっている」と同調した。例えば、パラコートのような農薬やトリクロロエチレンのような化学物質は、パーキンソン病の発生と強く関連しているという。

パーキンソン病は「治療できない」のは大きな誤解

パーキンソン病の原因が何であれ、病気自体を治すことはできないものの、症状は緩和できる場合が多い。オクン所長は、パーキンソン病に関する大きな誤解は「治療できないと思われていることだ」と指摘する。

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最も一般的な治療法には、薬物療法や筋力強化運動のほか、各種理学療法などがある。手術による治療法も数多くある。実際、早期の外科的介入は最悪の症状の発現を防ぎ、患者の生活の質を向上させる可能性があるとサファルプール博士は言う。「神経科医、脳神経外科医、理学療法士、作業療法士、言語療法士を含む複数の領域にわたる専門家が外科的評価の議論に参加するべきだ」

パーキンソン病は多くの場合、予防することも可能だ。サファルプール博士によると、定期的な運動や健康的な食事、質の高い睡眠、有害な物質への暴露の回避など、すべてが予防につながる。だが、すでにパーキンソン病を患っている人や最近診断された人にも希望はある。オクン所長はつぎのように述べた。「私たちの診療所には、パーキンソン病を抱えながらもすばらしい人生を送っている患者がいる。中には数十年もこの病気と共存している患者もいる。患者と家族が積極的な治療計画を作成できるよう支援すれば、パーキンソン病患者の多くは活気を取り戻し、幸せで有意義な人生への道があることに気づくだろう」

forbes.com 原文) 

翻訳・編集=安藤清香

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