1. 共同作業を通じて絆を築く
他の人と共通の目標に向かって取り組むとき、特別なことが起こる。友人の引っ越しを手伝ったり、チームスポーツをしたり、あるいはプロジェクトでコラボしたりすると、つながっているという感覚が自然に生まれる。連携を図ると一体感が生まれ、多くを語らなくても互いの意図や動きがわかるようになる。
このようなつながりは、単にタスクを完了させるだけではない。目の前の仕事だけでなく、もっと相手を助けたい、あるいは支援したいと思うようになることが多い。「つながっている感」が深まり、支え合いたいと感じるようになる。
専門誌『Social Cognitive and Affective Neuroscience(ソーシャル・コングニティブ・アンド・アフェクティブ・ニューロサイエンス』に2017年に掲載された研究では、タスクに共に取り組んでいるときの脳活動の同期と、人間関係への影響を脳画像を用いて調べた。
その結果、協力してタスクに取り組むふたりの脳は驚くほど同期することがわかった。具体的には、他者を理解することに関連する脳の領域が活発になり、ふたりが精神的に同期していることが示唆された。
こうした脳の同期は、相互の向社会的行動(見返りを求めることなく他者を助けたりする行動)の増加と結び付いていた。タスクに取り組む間、ふたりの同期の度合いが高いほど、その後、親切心を示したり協力する傾向が強かった。
これは、たとえ些細なことであっても一緒に何かに取り組むと、つながりが強まり、一層前向きなものになることを示している。
すでに構築されている絆を強めるにせよ、新たな絆を築くにせよ、些細なことにでも共に取り組むことで同じような効果が得られる。
これをあなたの人間関係に取り入れる方法をいくつか紹介しよう。
・既存の人間関係を育む場合:
壁画を描く、スクラップブックをデザインするといった創作プロジェクトを共同で行う、ヨガやグループ・ウォーキングなどのウェルネス・ルーティンを共有する、一緒に食事を作る、といった取り組みを試してみる。
・仕事や社交の場で新たな絆を築く場合:
プレッシャーの少ない、興味をそそる方法でコラボする機会を探す。職場のグループプロジェクトに競争心ではなく好奇心を持って取り組んだり、入社したばかりの人とアイデアを出し合ったりするなど、より深いつながりを築くために、共通の目標に向かって他の人と協力するボランティア活動に参加する。
・新しい友人を作る場合:
アートがテーマのワークショップやフィットネスクラス、ボランティア活動を行うグループなど、コラボが行われるクラスやコミュニティに参加することを検討する。
このような日常的なコラボに顔を出したり参加したりするだけで、より深い理解とサポートが自然に生まれる場を得られる。旧交を温めるにしても、初対面の人と話すにしても、有意義な人間関係の基礎を築くのは一緒に行うささやかな取り組みであることが多いと覚えておいてほしい。


