大人になると有意義な人間関係を築いて維持することは困難に感じられることがある。仕事と家庭を両立しつつ常に日々の雑事に追われていると、人間関係を育むための時間と気力を見つけることなど無理、と思えるかもしれない。
付き合う人の数は限られがちで、憧れるような深いつながりを築くことなく、ただ通り一遍の型にはまった付き合いになりやすくなる。たとえ交流関係を広げようとしても、取っ掛かりをつかむのはこれまで以上に難しく感じるかもしれない。
だが古い研究によると、健康全般には周囲の人の支えが不可欠だ。周囲からの支援が私たちに影響を及ぼし得る主なパターンは2通りある。ひとつは「主効果」のパターンで、交友関係が充実しているだけで心身の健康が向上するというものだ。もうひとつは「緩衝材」として作用するパターンで、周囲の人の支援がストレスの悪影響を和らげるというものだ。
人とのつながりが重要なのは明らかだが、実際につながりを構築して維持するのは困難なことが多い。初対面の人との共通の話題を見つけ、違いを乗り越えてつながりを維持することは難しかったりする。生活が忙しくなってくると尚更だ。
だが、楽観視できる部分もある。親密さを築くのに大げさな意思表示は必要ないということだ。小さな親切や協力が意味のある人間関係への糸口となる。こうした利他的な行為はつながりを深め、助け合いを促進する。
この記事では、他人を思いやる言動の力によって人とのつながりを生み出したり、すでに付き合いのある人との絆を深めたりできる研究に裏付けされたふたつの方法を紹介しよう。



