米連邦議会上院は米国時間4月9日、米証券取引委員会(SEC)委員長に、暗号資産の推進派として知られる元SEC委員のポール・アトキンスを起用する人事を承認した。これを受け、SECの新たな委員長に就任したアトキンスは、デジタル資産の規制に関する対応で、厳しい追及を受けた前任者のゲーリー・ゲンスラーに代わって、トランプ政権が目指す暗号資産業界の振興に向けて、主要な役割を担うことが期待されている。
またアトキンスが率いるSECは、暗号資産業界の擁護派として知られ、「クリプト・ママ」と呼ばれるヘスター・ピアース委員の権限を拡大する見通しで、デジタル資産に対してより体系的かつイノベーションに優しいアプローチへと動き始めている。
SECがミームコインとステーブルコインに関するスタッフ声明を公開
SECのコーポレートファイナンス部門は、4月に入り2つの主要な分野に関して新たなスタッフ声明を発表した。そのひとつ目は、「ミームコイン」が既存の証券法の下でどのように評価されるべきかに関するガイダンスだ。ふたつ目は「ステーブルコイン」に対するSECの姿勢と、それらが連邦証券規制の対象となる条件を明確化するものだった。
これらのスタッフレベルの声明は、正式なルールと同じ効力を持つものではないが、市場の関係者にとっては重要なトーンの変化を意味している。ピアース委員の権限の拡大は、イノベーターたちに再び楽観的な見通しをもたらしている。
一方アトキンスは、暗号資産市場に「明確なルール」を整備する必要性を強調している。4月25日に開催された会合で彼は、これまでのSECの曖昧な規制と強制執行を優先する姿勢が「イノベーションを抑圧してきた」と主張した。彼のこの発言は、これまでのSECのアプローチからの大きな転換を示している。
トランプ大統領の息子と暗号資産の起業家とのつながり
しかし、最近の業界の動向は、SECの独立性に対する監視の目を強める結果にもなっている。そのひとつが、トランプ大統領の息子であるエリック・トランプが、暗号資産の起業家ジャスティン・サンやワールド・リバティ・ファイナンシャル(WLFI)の共同創業者のザック・ウィトコフらとのつながりを深めていることだ。中国生まれのサンは、トランプの名を冠したミームコイン「$TRUMP」の最大の保有者のひとりと報じられている。



