テクノロジー

2025.05.04 08:00

小説『スノウ・クラッシュ』メタバース生みの親が立ち上げた、「Web3の楽園」の野望

作家のニール・スティーヴンスン(Photo by Amy E. Price/Getty Images for SXSW)

作家のニール・スティーヴンスン(Photo by Amy E. Price/Getty Images for SXSW)

Web3とメタバースのブームが下火になると、多くの人は「過剰に資金が流入したシリコンバレーのファンタジー」としてこの分野に見切りをつけた。しかし、テック系カンファレンスが開催されるサンフランシスコやドバイから遠く離れたアルジェリアでは、状況がまったく異なる。

アルジェリアでは、政府支援のもと、ブロックチェーンや没入型メディア、クリエイター主導プラットフォームに対して戦略的な投資が行われている。その中心にあるのが、SF作家ニール・スティーヴンスンが共同設立したレイヤー1ブロックチェーン「Lamina1」だ。スティーヴンスンは、1992年に発表したSF小説『スノウ・クラッシュ』で初めてメタバースという言葉を使ったことで知られる。

このプロジェクトは、新たなイニシアチブである「Numidia Valley(ヌミディア・バレー)」を通じて開始され、「メディア3.0」と呼ばれるコンセプトの具体例を示す稀有な例となっている。その焦点はインフラストラクチャーにあり、アルジェリア経済が20世紀のアナログシステムの多くを飛び越え、教育やゲーム、エンターテインメント、知的財産権(IP)の所有権を支える基盤を構築することを目的としている。

クリエイティブエコノミーに一気に進む

「アルジェリアにはレガシーなインフラがないため、デジタルネイティブでクリエイティブエコノミーに一気に進むことが可能だ。Lamina1は、クリエイターを中心に据えたプラットフォームだ」と、ヌミディア・バレーの共同創業者であるヤスミナ・カジタニは話す。

人口構成がアフリカで最も若く、STEM分野の優秀な人材を豊富に持つ(カジタニによると、その80%が女性だという)アルジェリアは、野心的な計画を掲げている。同国は、スキル開発やスタートアップの育成、デジタルIPの輸出などの分野に投資を行っている。

Lamina1のパートナーシップは、3つの柱から構成されている。ひとつ目は、ブロックチェーンベースのクリエイティブツールを大学に導入すること、ふたつ目はLamina1プラットフォームを活用した自国でのゲーム開発支援。そして3つ目は、アルジェリアのサッカー代表チームのためのデジタルクラブハウスといった、ファンエンゲージメントハブの立ち上げだ。

これらのプロジェクトは、すべて「Spaces」と呼ばれるLamina1のフラッグシップ製品の中に存在している。Spacesは、没入型コンテンツ向けのWeb3ネイティブプラットフォームで、YouTubeとPatreonを組み合わせたような体裁で配信とコミュニティ、収益化が緊密に統合されている。ここではクリエイターがLamina1ネイティブトークンである「L1」で助成金を受け取り、ステーキングで収益化したり、ファンへの報酬として使用したりするほか、資金調達のためにステーブルコインに交換したりもできる。また、スマートコントラクトがロイヤルティの分配とリアルタイムのマイクロペイメントを自動的に処理する。

次ページ > クリエイターのためのコミュニティ

編集=上田裕資

タグ:

advertisement

ForbesBrandVoice

人気記事