1年前の2024年3月、韓国で「涙の女王」というドラマが大ヒットするなか、SNSに主演のキム・スヒョンとキム・セロンという女優が頬を寄せ合うツーショット写真が投稿された。投稿したのはキム・セロン自身で、彼女は少し前に飲酒運転で事故を起こし、自粛中であった。
キム・セロンは子役の出身で、カンヌ国際映画祭に最年少で招待されるほどの実力派女優に成長したが、2022年の飲酒運転事故で活動自粛に追い込まれていた。
事故では、彼女は運転中にガードレールや街路樹、変圧器などに車をぶつけ、そのまま逃走した。すぐに警察に捕まり飲酒運転であることが判明する。特に変圧器への衝突によって、事故現場一帯は3時間も停電。場所が繁華街だったこともあり、そのため57カ所の施設や店が被害を受け、商店ではカード決済が不能になるなどの状況に陥った。
事故現場から立ち去ったキム・セロンは、すぐに警察に捕まり、飲酒運転であることも判明。彼女は在宅起訴となり、第1審では飲酒運転などで罰金2000万ウォン（約200万円）を言い渡される。
事故の被害者たちには、彼女はそれぞれまわって謝罪をし、損害賠償もしたという。その際、<自分のありったけの財産を売り払って賠償したので生活苦に追い込まれており事故後はアルバイトもしている>とSNSに投稿していた。
しかし、この投稿が彼女の印象をさらに悪くしていた。なぜなら、生活苦に追い込まれていると言いながら、有名弁護士事務所の弁護士を6人も引き連れて裁判に臨んでいたからだ。言動が不一致だということで、彼女の言うことは嘘ばかりだというレッテルを貼られてしまった。
そんな彼女が投稿したキム・スヒョンとのツーショット写真だったので、今度も人気を集めている俳優への嫌がらせのように映ったのだ。自粛中の身であるのに、大ヒットしているドラマに水を差すつもりなのかと、当時、彼女への批判が続出した。
キム・スヒョンは、韓国を代表する高身長で小顔の若手イケメン俳優だ。代表作も数多く、「太陽を抱く月」や「星から来たあなた」などの出演作はアジア圏で大ヒットした。前述の「涙の女王」も高視聴率を記録していた。
投稿された写真はすぐ非公開となったが、キム・セロンへの批判は続き、彼女が芸能界に復帰するといった記事も炎上し、結局、彼女は今年2月16日に自宅で自殺した。享年24歳だった。
彼女の葬儀には、芸能界からも錚々たる人間たちが弔問に訪れたが、最後までキム・スヒョンは姿を見せなかった。
