Forbes JAPANでは、今後の日本経済・社会をつくるけん引役として、スタートアップ、スモール・ジャイアンツ(規模は小さくても偉大な価値をもつ企業)、30 UNDER 30(世界を変える30歳未満30人)の三大プロジェクトに注力している。各プロジェクトの受賞者やアドバイザーら50人に、「2025年以降に大きくブレイクする可能性がある」「これから来る消費トレンドを先取りしている」「コンセプトや開発手法、ビジネスモデルなどに新規性がある」といった観点で、業種業態やハード/ソフトを問わず、注目に値するプロダクト・サービスを推薦してもらった。50選には、これからの商品展開のヒントが詰まっている。
穴熊の「Jiffcy」
推薦者|田島聡一 ジェネシア・ベンチャーズ代表取締役
入力中のテキストがリアルタイムで表示されることで、相手の感情の変化を繊細に感じ取りながら会話を楽しめるテキスト通話アプリ。声を出せない場所や周囲に会話を聞かれたくないシーンでも快適に利用でき、聴覚に障がいのある人でもリアルタイムなコミュニケーションを楽しめる。「利便性とエンターテインメント性を兼ね備え、新しいコミュニケーションの可能性を広げる」(田島)
EVERESTの「ETHICAL COFFEE BALM」
推薦者|快歩 特殊メイクアーティスト

捨てられるはずだったコーヒーの抽出かすを利用してつくられた天然由来100%のシアバターバーム。エシカルコスメブランド「EVEREST」が開発した日本初のコーヒーアップサイクルコスメのひとつで、全身に使える。「ハンドクリームやヘアバームとして使っています。ほんのりとしたコーヒーの香りがとても心地よいです。バンブーケースのパッケージも手触りが良く気に入っています」(快歩)
くいんとの 「S-Generator」
推薦者|wanoco4D KASSEN CGartist、映像監督
プロダクト設計において、構造最適化(コンピュータを使って最適な形状や構造を計算する技術)でつくられた複雑な3Dデータを、編集しやすいようにCADデータに変換するソフト。雑多なメッシュデータのままでは修正が難しく、設計の現場で使いづらいという課題があったが、このソフトを使うことでスムーズに活用できる。「製造業のデジタル化を加速させる画期的なツール」(wanoco4D)
髙丸工業の「WELDEMOTO」
推薦者|山野千枝 一般社団法人ベンチャー型事業承継 代表理事
一般的なPCを用いて、遠隔地から簡単に溶接を行えるロボットシステム。ファナックや安川電機など、複数のロボットメーカーに対応し、溶接だけでなく、その前後工程にも対応可能。人材不足や過酷な作業環境を解決し、金属加工現場の安全性を確保する。「リモートで対応する世界を実現しないと、ものづくりの未来そのものが危うい。未来を切り開く製造業改革に注目」(山野)
favyの「シェア型フードホール」
推薦者|有安伸宏 起業家、エンジェル投資家

飲食フードホール・横丁の進化形。飲食店オーナーは、初期費用20万円で出店でき、家賃は売り上げ連動型。厨房設備付きの店舗を提供し、飲食業への参入を容易に。集客から注文、決済までの店舗オペレーションをテクノロジーによって最適化し、飲食店の売り上げが上がれば、物件オーナーの家賃収入も増える仕組み。「固定賃料よりも高い収益化が可能になる。不動産業界と飲食業界の活性化に期待」(有安)。写真は「アドホック新宿ビル」で3月下旬に開業予定の新たなフードホールのイメージ。
dr365の「V.C. プレエッセンス」
推薦者|土井皓貴 Morght 代表取締役社長

皮膚の専門家が監修し、さまざまな肌悩みにアプローチするスキンケアブランド。全製品に独自の技術を搭載し、両親媒性の高機能ビタミンC誘導体など世界中から厳選した有用成分を高配合。全製品で継続使用率は90%を超え続けている。「D2Cの化粧品は、発注を簡易化するためにすべての商品を1社に依頼するのが基本ですが、dr365は製品ごとにOEM先を変えているようです。それによって、すべての製品で高い効能を実現している。導入美容液がとにかく浸透する。自分も1回使用してからファンになりました」(土井)
REMAREの「GYOG/Gomi」
推薦者|金丸 良 愛知県経済産業局スタートアップ推進課 主査

複合・海洋プラスティックを100%活用した建材。三重県鳥羽市では約2000tの漁業ゴミが山に保管されており、漁業者と共に解決するためゴミを買い取り、価値あるプロダクトへと再生。持続可能性と意匠性を兼ね備えた素材開発を推進し、企業向けにオリジナル素材の制作も行われている。「さまざまな廃プラスティックのもつ色の調和により、『再生材だから使おう』ではなく、『このデザインを使いたい』と訴求できるところが、アップサイクルの本質を突いたプロダクトだと思う」(金丸)
カエカの「話し方トレーニング」
推薦者|久保駿貴 ABABA 代表取締役社長
話す力を数値化し、個人に合ったカリキュラムを提供することで、その人の課題を解決する伝え方トレーニングサービス。AI時代においても、人と人との対話力は不可欠であり、特に経営者はプレゼンの機会や重要な場面でのあいさつ等、人の前で話す機会が多々ある。「単なるスピーチスキルの向上にとどまらず、自己表現力とコミュニケーション力を飛躍的に高めることができるサービスです」(久保)
花王の「melt」
推薦者|鳥巣智行 Better 代表取締役
従来の開発手法とは異なるプロセスで誕生したヘアケアブランド。さまざまな部門担当者が参加する「スクラム会議」の推進に加え、ブランドのポジションマップを機能面ではなく「感情」に基づいて設計した結果、独自のポジションを確立。24年4月の発売後、売り上げは計画比9倍のペースで推移し、同社のシェア回復をけん引している。「感情に基づくブランド戦略は、今後ますます注目されるだろう」(鳥巣)
プロeスポーツチームの「REJECT」
推薦者|荒井俊亮 ACROVE 代表取締役CEO

2018年発足のプロeスポーツチーム。30人の選手・15人のVTuberを含むゲーム配信者で構成。国内外の大会で実績を重ね、ファン層を広げながら市場の成長をけん引。スポンサー契約やメディア露出も増え、日本のeスポーツシーンで存在感を放っている。2024年にはPUBGモバイルで日本初の世界一を達成し、25年は競技タイトルを拡大するなど、「年々勢いを増しているeスポーツスタートアップ」(荒井)。写真は1月にREJECTに加入したストリートファイターの世界トップクラス選手Angry Bird(左)とBig Bird(右)。