教育

2025.05.08 15:15

義務教育に「会計」を──小学生も目覚める『豚の貯金箱』理論の勧め

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筆者は埼玉県にある金属加工メーカーの社長と結婚、経理部門の仕事を任されました。数字や専門用語ばかりが並んだ決算書を初めて見たときの絶望感は今でも忘れません。

その後、会計を理解するために書籍を何十冊も読み、会計セミナーに参加するなど莫大な時間を費やすうち、「決算書は読み解くことで会社の強みや問題点が見えてくるもの」「会計は会社や組織の進むべき道を教えてくれる宝の地図」と理解するようになりました。

そして、社員に短時間で会計の「本質」を理解してもらうために編み出したのが「風船会計メソッド」です。 

義務教育の段階から会計を専門的に学ぶことのメリット

実は私は、会計の本質を理解させる授業は、義務教育の段階から取り入れるべきだと思っています。

日本でも2022年4月から小学校・中学校・高校での金融教育が導入され、家庭科や公民の授業の一貫として教えられていますが、あくまでもその教科で教えられる内容の一部でしかありません。

もし日本でも義務教育の段階から会計を専門的に学ぶことができれば、私たちの生活や仕事は大きく変わるはずです。

個人の視点では:

・収入と支出の管理が適切にできるようになり、無駄遣いや借金のリスクが減る
・貯蓄や投資の基礎を学び、将来の資産形成に役立つ
・就職や転職時に企業の財務状況を分析し、より良い選択ができる

企業の視点では:

・中小企業の経営者が適切な資金管理を学び、倒産リスクが減る
・会計知識を活かして事業計画を立て、成長しやすくなる
・日本企業全体の経営が合理化され、国際競争力が向上する

つまり、会計教育の普及は、個人の生活の安定だけでなく、企業の発展や日本経済全体の成長にもつながります。だからこそ、会計教育を義務教育に取り入れるべきなのです。

会計の難しい概念を視覚的イメージで学ぶ

とはいえ、小中学生がいきなり会計を学び始めるのは、かなりハードルが高いかもしれません。会計の概念が抽象的で理解しにくいからです。例えば、「資産」「負債」「収益」といった言葉は日常生活で馴染みがなく、財務諸表の仕組みも実感しにくいため、小中学生にとって(そして大人にとっても)興味を持ちにくい内容です。

また、会計には計算が必要であり、数学が苦手な生徒にとっては負担が大きく、利益計算や資産の増減を正しく理解するには、数字を扱うスキルが求められるため、ハードルが高く感じる生徒が出てくる可能性があります。

そこで私がおすすめしたいのが、冒頭でも触れた、会計の難しい概念を視覚的に理解しやすくした「風船会計メソッド」です 。

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「風船と豚の貯金箱」に例えれば、決算書は絵本に見えてくる

このメソッドは、風船と豚の貯金箱などの視覚的イメージを用いて、複雑な会計概念を平易に説明するために開発したものです。

「風船会計メソッド」では、売り上げを風船、貸借対照表を貯金箱に置き換えるなど、数字を視覚的に理解できるようにしています。また、おもちゃのコインや設備、銀行、税務署のイラストを使っているため、会計の抽象的な概念が直感的に理解しやすくなっています。

また、ストーリー性やゲーム感覚を取り入れた学習方法のため、従来の暗記中心の会計教育よりも興味を引きやすく、数字が苦手な生徒でも学習意欲の向上が期待できます。

小中学生が楽しく学びながら、将来の経済的自立に必要な知識を身につけられる点で、「風船会計メソッド」は有効な教育手法といえます。

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文=松本めぐみ

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