「京都へはみな電車でやってきて、ここから旅が始まる。京都駅は特別な場所」。4月11日、今年で13回目となるKYOTOGRAPHIE 京都国際写真祭の「JR クロニクル京都 2024」特別オープニングセレモニーで、フランス人アーティストのJRはそう語った。その駅の北側通路の壁面にはいま、JRが手がけた巨大な写真壁画「JR クロニクル京都 2024」が展示されている。
縦5m×横22.55m、伝統と観光で栄える京都の多様性を表現した壁画には505人が写る。舞妓や僧侶、職人といったいかにも京都な存在から、野球少年、ドラァグクイーン、市長や消防隊員まで、ポーズもさまざまでありながら調和している様子につい見入ってしまうことだろう。
壁画のなかでは「みな平等」
撮影は昨年秋、京都駅前や鴨川デルタ、大原など市内8カ所で行われた。使われたのは、JRが“ホーム”と呼ぶ移動式のスタジオ。「いつもグリーンバックで、同じライティング、同じフォーカスで撮る。誰かが誰かより重要になることがない。壁画のなかではみな平等なんだ」。今回のKYOTOGRAPHIEは「HUMANITY」をテーマに掲げているが、この言葉に、彼の人との向き合い方が表れている。
基本的には街ゆく人に声をかけて撮影したが、「それなら自分らしい服装で!」と別日に改めた人もいれば、参加者から数珠繋ぎに「京都を表すならこの人を入れた方がいい」とつながっていった人もいる。
どんなに人数が多くとも、被写体と言葉を交わしながら、その人らしい自然なポーズを引き出す。そのためか、照明を組まれたセットを前にしても、「みな物怖じすることなく撮影に応じてくれる。鴨川にはピクニックをしている家族がいて。説明をしたらわざわざシートごと移動して協力してくれた」と楽しそうに振り返る。また、撮影を通じて京都のアンダーグラウンドのシーンの深さと厚さを知り、再訪してからは余計に目が向くようになったという。
撮影時にはそれぞれが語るストーリーも録音。生い立ち、京都との関係、将来の夢……数秒の言葉から数十分の語りまで、展示会場でQRコードを読み込めば、その声も聞くことができる。



