アート

2025.05.01 13:15

JRの巨大壁画が京都駅に 「505人撮影」の舞台裏と意外な事実

作品の前で開催されたKYOROGRAPHIE 「JR クロニクル京都 2024」特別オープニングセレモニーの様子

クロニクルの舞台裏

京都新聞ビル地下1F & 1Fで開催中の「Printing the Chronicles of Kyoto」の展示
京都新聞ビル地下1F(印刷工場跡)& 1Fで開催中の「Printing the Chronicles of Kyoto」の展示

KYOTOGRAPHIEの期間中、京都新聞社の本社ではNYやマイアミといった他都市のクロニクル作品や京都版の制作プロセスの展示が行われている。インクの香りが漂う1階には、コラージュされる前のプリントがずらりと並ぶ。

advertisement

切り抜き、配置するにあたっては、「撮影のときの会話を思い出して、例えば『市長と話してみたい』と言っていた人は市長と対話しているように配置するとか、できるだけ参加者の希望を反映するようにした」とJR。途方もない仕事が眼に浮かぶ。

展示を先へ進むと、運転を停止した印刷工場跡に、巨大なポートレートが出現。暗闇に一体一体が浮かび上がるようなドラマチックなセットのなか、参加者の声が響きわたる。同ビルの地下1階はこれまでもさまざまな展覧会に使われてきたが、関係者曰く、「1階も含め、JRのように使った人はいない」という。

京都新聞ビル地下1F & 1Fで開催中の「Printing the Chronicles of Kyoto」の展示
京都新聞ビル地下1F(印刷工場跡)& 1Fで開催中の「Printing the Chronicles of Kyoto」の展示

すべては好奇心から

パリのストリートで10代から活動を始めたJRは、シエラレオネ、リベリア、インドなどのスラム街の建物の外壁、ルーブル美術館やピラミッドといった観光名所など、世界各地の公共空間を舞台に大規模な写真作品を展開する。しかし意外にも、それらのプロジェクトの多くは「依頼されたもの」ではなく、「自ら始めたもの」だという。

advertisement

「世界各地を訪れ、強く動かされると何かをやりたくなる。例えばイタリアのナポリ。ヨーロッパにほかにあんな街はないわけです。キューバもそう。そこに何かを残したいと思う。そうして写真を撮り始めていくと、『うちのミュージアムを使う?』などと場所をもっている人が声をかけてくれて展示につながっていく」

大作ができるまでには、膨大な時間と労力、そしてコストもかかる。もちろん、場所に限らず資金的な支援者もいるが、JRは世界中どこのプロジェクトでも、スポンサーの名前を出さないことを徹底している。

ちなみに、彼の写真がモノクロであるのは、写真を始めた頃にお金がなかったことに起因するが、「街にはカラーの広告ばかりだから逆に目立って、それ以来自分のスタイルした」という戦略でもある。人や顔を取り続けるのは、それぞれの人に興味があるから。でも、誰にでも声かけられるものでもない。「クロニクルという名目があるから、知らない人に堂々と話を聞ける」と嬉しそうだ。

完成した京都の縮図を前に、「クロニクルは“街の鏡”なんだ。カルチャーもルーツも違う人が同じ街にいて、一緒に暮らしていく。そんな象徴として見てもらえたら」とJR。この作品は万博が終わる10月半ばまで展示されるが、その後も、市内の別の場所で常設展示されることを願っているという。

KYOTOGRAPHIE 京都国際写真祭 2025
2025年4月12日〜5月11日(日)
https://www.kyotographie.jp/

文・写真=鈴木奈央

タグ:

advertisement

ForbesBrandVoice

人気記事